Vol.6  9月23日号「製品事故の再発について考える」
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====================2005.9.23 Vol. 6=====================
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│PSコラム│
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│ 製品事故の再発について考える │
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◇製品事故は、同じメーカーであっても繰り返し起こることがある。
あるメーカーで起きた家電製品の発煙・発火事故は、手作業で組み立てた本
体内部の電源コードと配線リード線の接続不良(かしめ不良)で発生したも
のであった。接続不良は作業者のミスではあるが、作業後の検査が適切であ
れば事故は防げるものであった。しかしながら、検査も不十分であったため
事故が起こった(製造上の欠陥)。メーカーでは再発防止のため製造工程、
検査方法等について万全の対応を図ったはずであった。
◇数年後、同一メーカーの別工場で製品の発煙・発火事故が起こった。その事
故原因は、以前の事故と同じであった。
どうして同じ事故が起こったのだろうか?
「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」に事故の再発防止につい
てのヒントが述べられている。
◇「事故の再発防止を優先する観点から、犯人探しのように責任を問うのでは
なく、あくまでも事故の原因分析・改善を優先し、失敗の知識はむしろ貴重
な財産として組織内外で共有・伝承される環境であることが非常に重要であ
る。」(第4章「組織としての対応」より)
◇同じ過ちを繰り返さないためには、事故に関わる情報が貴重な財産として、
工場関係者、後輩に適切に伝承されるような組織運営が必要である。本事例
はそれがなされていなかったため、大きな損失を負うこととなった。人間は
過ちを繰り返す動物であることを忘れてはいけない。
(編集子)
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目次
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1.消費生活用製品の事故防止について
第6回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報
・消費生活用製品の事故情報収集状況(9月5日~9月16日受付46件)
・ヘアドライヤーの事故
・消費生活用製品以外の事故(1件)
3.NITEの製品安全情報
・平成17年度生活・福祉技術センター成果発表会 プログラム紹介(2)
・燃焼器具に関する事故の再発・未然防止セミナーがスタート
4.関係機関の製品安全情報
・「石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の
実態把握調査の結果について」経済産業省
・「安全・安心シンポジウム」
~ 市場原理を活用した製品安全社会の実現 ~
経済産業省 社団法人日本工学アカデミー
5.編集後記
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1.消費生活用製品の事故防止について
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第6回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」
◇(9)「製品の効用・有用性」
・包丁やナイフなどの刃物については、良く切れるということは、消費者が
その製品を選択する際に最も重視する製品の効用であるが、その効用の程
度が危険性の程度と直接に関係する製品である。医薬品なども同様の場合
が多い。こうした製品の場合には、消費者が効用と危険性の関係を理解し
その製品を選択したのであれば、販売したとしても社会的に許容される。
・しかし、デザイン的に優れているが、鋭利な形状を有する家具などは、社
会的に許容されるとは言えず、安全対策を講じる必要がある。
・安全性は、製品のあらゆる特性の中で最優先すべき特性の一つである。し
かし、絶対安全(危険を全て無くすこと)は事実上不可能であり、製品に
はなんらかの危険性が残る。しかし、その危険性とその製品の持つ効用・
有用性の間に直接的な関係があり、かつ、効用・有用性が危険性を上回っ
ていれば、その製品は社会的に許容される。ただし、その判断は、事業者
ではなく、社会により判断される。
◇(10)「価格対効果」
・安全対策を採り入れると、製品のコストアップにつながることも多い。
こうした場合、製品の安全性は向上しても、その製品が消費者から選択さ
れない、ということもありうる。ただし、このような場合でも、安全性は
製品の特性の中で最優先すべきであり、ましてや、製品全体の価格に占め
る安全対策のコストがわずかな場合には、確実に製品で安全を確保するべ
きである。
・安全性に関わる装置類をオプションにする場合、カタログなどを通じて、
オプション情報を消費者に通知することが必要である。ただし、標準仕様
の状態で社会的に許容できるレベルの安全性を確保していることは必要で
あり、オプションはより安全性を高めるニーズに対応する場合にのみ許さ
れると考えるべきである。
< S.N >
※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
(第7回に続く)
☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
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2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況
(9月5日~9月16日受付49件) ◇◆◆
NITEに通知のあった事故情報を傾向として集計しています。
(件数の多い順に5製品)なお、事故原因については現在調査中です。
製品名(事故状況と件数) [前号比(件数±)]
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1. ガスこんろ (火災14件) [+ 1]
2. エアコン (火災2件、発煙2件) [+ 3]
3. 四輪自動車 (火災3件) [- 9]
4. ふろがま (火災2件) [- 1]
4. 屋内配線 (火災2件) [+ 2]
(*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。
◆◆◇ ヘアドライヤーの事故 ◇◆◆
今回、ヘアドライヤーが原因と思われる、幼い子供が亡くなった火災事故が
通知されました。ヘアドライヤーが関係した事故について調べてみました。
◇NITEが収集して調査が終了した事故情報のうち、平成12年度から平
成16年度の5年間に収集された、ヘアドライヤーが関係した死亡事故は
以下の2件です。
・「アパートの一室から出火し、就寝中の家人がCO中毒で死亡した。」
→電源コードを床に這わせて、その上に衣類や雑誌を重ねた状態で繰り
返し使用していたため、コードが半断線し、発火して衣類などに引火し
た。 (平成13年度)
・「住宅から出火して布団等を焼き、幼児がCO中毒で死亡した。」
→電源コードのショートによるものとみていますが、焼損が著しくショ
ートの原因は特定できなかった。 (平成12年度)
◇平成15年度、平成16年度に収集して調査が終了した事故情報のうち、
ヘアドライヤーが関係した事故は、それぞれ、9件、3件です。その事故
原因別の事故概要(原因不明除く)は以下になります。
【製造不良】
・「使用中に吹出口から火花が出た。」(同じ製品5件)
→ヒーター線とリード線の端子を絶縁マイカを挟んでハトメでかしめて
いたため、かしめ部分が弱いものがあり、この部分の接触抵抗が増大し
て異常発熱し、ヒーター線のハトメが溶断した際に火花が出た。
・「使用中に吹出口から火花が出て髪を焼いた。」
→ヒーター線がマイカプレートの正規の溝に固定されておらず、外部か
らの衝撃等によりヒーター線が移動し、ヒーター線同士が接触して、そ
の部分がショートしスパークが発生した。
【消費者の誤使用・不注意】
・「使用中に火花が散って、火傷し、衣服に穴が開いた。」(2件)
→電源コードの本体根本部分に、繰り返し強いねじれや屈曲による力が
加わり、芯線が断線して、ショートした。
・「電源を入れたとたんに爆発し、身体の数カ所に火傷を負った。」
→ヘアピン等の導電性異物が本体内部に入ったためヒーター線がショー
トし、断線したヒーター線が吹出口(格子を外して使用していた)から
飛び出したことで火傷を負った。
・「使用中に火花と発煙が生じた。」
→吸気口にホコリ、毛髪等が目詰まりした状態で使用していたため、内
部温度が異常に上昇し、温風吹出口付近のサーモスタットが作動し、そ
の際に接点から火花が出て、過熱によりヒーター周囲に付着していたホ
コリが焦げた。
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◆◆◇ 消費生活用製品以外の事故でこんな事故がありました ◇◆◆
◇『選挙演説に集まった群衆が停止中のエスカレーターで転倒』
(9/3・福岡県)
JR小倉駅前で、選挙演説を聞こうと、停止中のエスカレーターに乗ってい
た人たちの一部が転倒し、女性3人が足を切るなどのけがを負った。エスカレ
ーターは安全のために停止させていたが、乗っていた人たちの重みで下方に動
いたため、バランスを失って転倒したとみられる。
■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
http://www.jiko.nite.go.jp/index3.html
■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp
■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/index5.html
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3.NITEの製品安全情報
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◆◆◇ 平成17年度生活・福祉技術センター成果発表会
プログラム紹介(2) ◇◆◆
前回に引き続き、「生活・福祉技術センター成果発表会」の製品安全関係分
野発表プログラムについてご紹介します。
◇「経済産業省の製品安全政策について」
経済産業省が取り組んでいる最新の製品安全政策について紹介します。
(大阪会場)
◇「家電製品等の火災事故の調査方法について」
~火災後の塗装鋼板に残存する被熱痕跡からわかること~
家電製品等の火災事故では、製品そのものが焼失してしまうケースが
多く、原因の特定は困難を極めます。生活・福祉技術センターでは、比
較的残存することの多い製品の外郭鋼板の被熱痕跡を整理・解析するこ
とにより、火災時の焼損方向等の識別の可能性について検討を行いまし
た。本発表ではその概要を紹介します。 (大阪会場)
◇「有限要素法(FEM)を用いた破損事故原因究明のための構造解析手法
について」 ~折りたたみ自転車フレームの解析結果の紹介~
有限要素法(Finite Element Method :FEM)は、コンピュータを用い
て構造物に発生する応力や変位等を解析する方法です。生活・福祉技術
センターでは、同手法の破損事故原因究明での活用をすすめており、本
発表では、折りたたみ自転車のフレームを例に、実際の解析手順と解析
結果を紹介します。 (大阪会場)
◇「消防機関との連携による事故原因調査の一例 」
~製品からの発火事故に関する原因調査事例~
事故情報の収集や調査を行う上で、消防や警察をはじめとする他機関
との連携は非常に重要です。本発表では、北陸地区で発生した製品の発
火事故原因究明調査事例について、消防機関との連携や情報提供の取り
組みを交えながら紹介します。 (大阪会場)
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参加申し込み方法、会場案内図などは、こちらをご覧ください。
→ http://www.tech.nite.go.jp/seika_17fy/seika_top.html
◆◆◇ 燃焼器具に関する事故の再発・未然防止セミナーがスタート ◇◆◆
東北、九州地区を対象に、社団法人日本ガス石油機器工業会と共催している
「燃焼器具に関する事故の再発・未然防止セミナー」も暖房機器のシーズンを
ひかえていよいよ本格化。今後、以下のスケジュールで実施予定です。
【今後の開催予定】
9/30 名取市「消費生活学級」
10/ 5 秋田県生活センター「くらしの一日教室」
10/14 米沢市「くらしの講座」
10/25 北九州市消費生活センター「消費者大学」
10/26 気仙沼市「消費生活講座」
11/ 2 宮崎県消費生活センター「消費生活セミナー」
11/15 筑紫野市「消費者基礎講座」
11/18 熊本県消費生活センター「くらしのセミナー」
12/15 盛岡市消費生活センター「素敵に盛岡人生活講座」
問い合わせ:業務管理課(電話06-6942-1112)「燃焼器具セミナー」担当まで。
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4.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇ 石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の
実態把握調査の結果について ◇◆◆
経済産業省は9月12日、昨今の石綿による被害の実態にかんがみ、石綿を
含有する家庭用品(一般消費者が購入する製品)の製造・輸入等の実態につい
て調査を実施し、調査結果を公表しました。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/contents/asubesuto/index_a.htm
◆◆◇ 「安全・安心シンポジウム」
~ 市場原理を活用した製品安全社会の実現 ~ ◇◆◆
共催:経済産業省 社団法人日本工学アカデミー
後援:日本経済新聞社
製品安全行政の中核的ツールである製品安全関連法では、対象品目毎に、安
全確保上必要な一定の技術基準を設定しています。製造物責任、企業の社会的
責任等の観点からより高度な安全を追求するためには、こうした法律に基づく
技術基準を踏まえつつも、民間の自主的な安全対策を促進する仕組みが必要と
考えられます。
経済産業省では、機械安全分野の規格体系を参考とした階層的な製品安全規
格体系を用いながら製品安全の向上を目指すために、市場原理を活用し、どの
ような制度設計を行うべきか、広く有識者・関係者による意見交換のためのシ
ンポジウムを開催します。
☆─────┐
│参加費無料│
└─────☆
【日 時】 平成17年10月17日(月)13:00~17:30
【場 所】 日本工業倶楽部 2階大会堂 東京都千代田区丸の内1-4-6
【定 員】 150名
【詳 細】 http://www.eaj.or.jp/
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5.編集後記
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今週は19日、23日と祝日が続いて嬉しいはずが、PSマガジンの配信と
重なり、タイトなスケジュールの渦中に。焦ります・・・。今、配信時間ギリ
ギリです。わかっていたのに、早くから取りかかっていたのに・・・。人は過
ちを繰り返す(^_^;) 。
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【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
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