事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について(平成17年度第3四半期)
平成18年3月6日
独立行政法人製品評価技術基盤機構
独立行政法人製品評価技術基盤機構
はじめに
経済産業省が所管する消費生活用製品等に関する事故情報の収集については、経済産業省から、製造・輸入事業者、地方公共団体、消費生活センター、消費者団体等に対して、事故情報を独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「機構」という。)に通知するよう協力を求めているところです。
機構は、これによって通知された事故情報と自ら収集した事故情報のすべてについて、通知者、製造・輸入事業者、関係者からの聴取を行うほか、事故発生現場の調査や事故品の入手等に努めるとともに、必要に応じてテスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。これらの事故情報やその調査状況・調査結果は、随時経済産業省に報告され、必要な場合には経済産業省により事業者や業界に対して行政措置が講じられることとなります。
本書は、こうした事故情報収集制度に基づき、平成17年度第3四半期(平成17年10月~12月)において、機構が事故情報に関し調査、確認、評価を行った上で、専門家により構成される事故動向等解析専門委員会による検討を経た結果及び機構が収集した事故情報の収集状況について取りまとめて公表するものです。
Ⅰ.事故情報調査結果
1.製品区分別事故原因
平成17年度第3四半期中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終えたものは339件でした。その内訳は、平成15年度収集分3件、平成16年度収集分41件、平成17年度収集分295件です。
この期間中に調査が終了した事故情報を年度ごとに製品区分別、事故原因区分別に示したものが表1です。
製品区分 年度 |
件数(件) | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
事故原因区分 | |||||||||
製品に起因する事故 | 製品に起因しない事故 | G.原因不明のもの | |||||||
A.設計、製造又は表示等に問題があったもの | B.製品及び使い方に問題があったもの | C.経年劣化よるもの | D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの | E.誤使用や不注意によるもの | F.その他製品に起因しないもの | ||||
平成 15 年度 |
家庭用電気製品 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
乗物・乗物用品 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
身のまわり品 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | |
合計 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 3 | |
平成 16 年度 |
家庭用電気製品 | 2 | 1 | 1 | 3 | 4 | 0 | 8 | 19 |
燃焼器具 | 3 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 13 | |
家具・住宅用品 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
乗物・乗物用品 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 | |
身のまわり品 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | |
乳幼児用品 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | |
合計 | 8 | 1 | 1 | 3 | 16 | 0 | 12 | 41 | |
平成 17 年度 |
家庭用電気製品 | 25 | 6 | 12 | 6 | 22 | 3 | 40 | 114 |
燃焼器具 | 1 | 0 | 0 | 5 | 94 | 0 | 15 | 115 | |
家具・住宅用品 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 2 | 9 | |
乗物・乗物用品 | 9 | 0 | 0 | 2 | 10 | 1 | 18 | 40 | |
身のまわり品 | 4 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | 2 | 11 | |
保健衛生用品 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | |
レジャー用品 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 3 | |
合計 | 43 | 6 | 13 | 13 | 138 | 4 | 78 | 295 |
2.事故原因別被害状況
調査が終了したものについて、事故原因別に被害状況を整理したものが表2です。
被害状況 事故原因区分 |
人的被害 | 物的被害 | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
死亡 | 重傷 | 軽傷 | 拡大 被害 |
製品 破損 |
被害なし | ||||
平成15年度 | 製品に起因する事故 | A.設計、製造又は表示等に問題があったもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
B.製品及び使い方に問題のあったもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
C.経年劣化によるもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
製品に起因しない事故 | D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
E.誤使用や不注意によるもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | ||
F.その他製品に起因しないもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
G.原因不明のもの | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | ||
合計 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 | ||
平成16年度 | 製品に起因する事故 | A.設計、製造又は表示等に問題があったもの | 0 | 0 | 2 | 2 | 3 | 1 | 8 |
B.製品及び使い方に問題のあったもの | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
C.経年劣化によるもの | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | ||
製品に起因しない事故 | D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 3 | |
E.誤使用や不注意によるもの | 2 | 3 | 4 | 7 | 0 | 0 | 16 | ||
F.その他製品に起因しないもの | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
G.原因不明のもの | 0 | 0 | 2 | 6 | 4 | 0 | 12 | ||
合計 | 2 | 4 | 8 | 17 | 9 | 1 | 41 | ||
平成17年度 | 製品に起因する事故 | A.設計、製造又は表示等に問題があったもの | 0 | 0 | 7 | 27 | 7 | 2 | 43 |
B.製品及び使い方に問題のあったもの | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 0 | 6 | ||
C.経年劣化によるもの | 0 | 0 | 3 | 5 | 5 | 0 | 13 | ||
製品に起因しない事故 | D.施工、修理又は輸送等に問題があったもの | 0 | 0 | 4 | 7 | 2 | 0 | 13 | |
E.誤使用や不注意によるもの | 9 | 1 | 31 | 87 | 10 | 0 | 138 | ||
F.その他製品に起因しないもの | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 4 | ||
G.原因不明のもの | 13 | 4 | 7 | 36 | 18 | 0 | 78 | ||
合計 | 22 | 5 | 53 | 170 | 43 | 2 | 295 |
3.製品区分別再発防止措置等の実施状況
製品に起因する事故(平成16年度:10件、平成17年度:62件)について、製造事業者などによる事故の再発防止措置が行われたものは、平成16年度9件で、平成17年度56件でした。
事故の再発防止措置は、既に製造を終了しており、他に同種事故が発生していないものなどを除き、再発防止措置が必要と考えられるすべての事故について措置がとられています。
事故の再発防止のために実施された措置は、事故の原因により複数の措置が実施されており、実施された再発防止措置をその措置内容と製品区分別に整理したものが表3です。
製品区分 年度 |
実 施 件 数 |
再発防止措置 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
製品交換、部品交換、安全点検等 | 製品の製造、販売又は輸入を中止 | 製品改良、製造工程改善、品質管理強化等 | 表示改善、取扱説明書見直し | 消費者への注意喚起 | 被害者への個別措置 | |||
平成 16 年度 |
家庭用電気製品 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 3 |
燃焼器具 | 3 | 2 | 0 | 2 | 0 | 1 | 2 | |
乗物・乗物用品 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
身のまわり品 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | |
合計 | 9 | 4 | 2 | 6 | 0 | 3 | 6 | |
平成 17 年度 |
家庭用電気製品 | 38 | 26 | 0 | 32 | 0 | 34 | 27 |
燃焼器具 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | |
家具・住宅用品 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | 2 | 2 | |
乗物・乗物用品 | 9 | 8 | 0 | 5 | 1 | 8 | 9 | |
身のまわり品 | 4 | 3 | 3 | 4 | 0 | 3 | 0 | |
保健衛生用品 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | |
レジャー用品 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
合計 | 56 | 40 | 3 | 45 | 2 | 48 | 41 |
- 注:
- 事故の発生に対して取られた複数の再発防止措置をそれぞれの措置ごとに集計。
個別措置のみのものを除く。
Ⅱ.事故情報収集状況
1.事故情報収集件数
平成17年度第3四半期中に収集した製品事故の情報のうち、同一の製品事故に対して複数の通知者から通知(報告)された重複情報を除いた事故情報収集件数は702件でした。
2.製品区分別事故情報収集件数
事故情報の通知者別の収集件数は、表4のとおりです。
製品区分別の事故情報収集件数は、表5に示すとおりで「燃焼器具」の収集件数が最も多く、次いで「家庭用電気製品」、「乗物・乗物用品」の順に収集件数が多くなっています。
上位3製品区分に係る事故情報の合計は618件で、収集した事故情報に占める割合は約88%となっています。
事故情報通知(報告)者 | 件数及び割合 | |
---|---|---|
当機構(新聞情報) | 479件 | 68.2% |
製造事業者等 | 121件 | 17.2% |
自治体(消防機関含む) | 36件 | 5.1% |
消費生活センター等 | 34件 | 4.9% |
国の機関 | 6件 | 0.9% |
消費者 | 15件 | 2.1% |
その他 | 11件 | 1.6% |
合計 | 702件 | 100.0% |
順位 | 製品区分 | 件数及び割合 | |
---|---|---|---|
1 | 燃焼器具 | 333件 | 47.4% |
2 | 家庭用電気製品 | 229件 | 32.6% |
3 | 乗物・乗物用品 | 56件 | 8.0% |
4 | 家具・住宅用品 | 35件 | 5.0% |
5 | レジャー用品 | 18件 | 2.5% |
6 | 身のまわり品 | 16件 | 2.3% |
7 | 台所・食卓用品 | 9件 | 1.3% |
8 | 保健衛生用品 | 2件 | 0.3% |
9 | 乳幼児用品 | 2件 | 0.3% |
10 | 繊維製品 | 2件 | 0.3% |
合計 | 702件 | 100.0% |
3.品目別事故情報収集件数
事故情報を品目別に分け、収集件数の多い順に示したものが表6です。
「ガスこんろ」(火災)、「石油ストーブ」(火災)、「電気ストーブ」(火災)、「四輪自動車」(車両火災)、「ストーブ」(火災)の順に収集件数が多くなっています。
「電気ストーブ」及び「直流電源装置」の事故情報には、製造事業者から報告され、社告が行われている製品に係るものが含まれています。
平成17年度第3四半期 (事故情報収集件数702件) |
|||
---|---|---|---|
順位 | 品目名 | 件数 | 割合% |
1 | ガスこんろ(*) | 140 | 19.9 |
2 | 石油ストーブ | 67 | 9.5 |
3 | 電気ストーブ | 54 | 7.7 |
4 | 四輪自動車 | 35 | 5.0 |
5 | ストーブ | 24 | 3.4 |
合計 | 320 | 45.5 |
- *:ガス種別内訳は次のとおり
-
- LPガス用
- 40件
- 都市ガス用
- 8件
- 不明
- 92件
4.被害状況
事故の被害状況は、表7のとおりです。
人的被害の発生した事故情報は292件で、その内訳は、死亡事故99件、重傷事故31件、軽傷事故162件です。
人的被害はなく、火災の発生や製品周辺に被害が広がる等の拡大被害が発生したものは314件でした。
製品区分 | 被害状況 件数 |
人的被害 | 物的被害 | 被害なし | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
死亡 | 重傷 | 軽傷 | 拡大被害 | 製品被害 | |||
燃焼器具 | 333件 | 51件 | 10件 | 85件 | 179件 | 6件 | 2件 |
家庭用電気製品 | 229件 | 28件 | 3件 | 31件 | 125件 | 41件 | 1件 |
乗物・乗物用品 | 56件 | 11件 | 6件 | 9件 | 2件 | 26件 | 2件 |
家具・住宅用品 | 35件 | 5件 | 8件 | 18件 | 0件 | 4件 | 0件 |
レジャー用品 | 18件 | 2件 | 1件 | 9件 | 1件 | 3件 | 2件 |
身のまわり品 | 16件 | 2件 | 2件 | 5件 | 4件 | 3件 | 0件 |
台所・食卓用品 | 9件 | 0件 | 1件 | 2件 | 1件 | 5件 | 0件 |
保健衛生用品 | 2件 | 0件 | 0件 | 0件 | 2件 | 0件 | 0件 |
乳幼児用品 | 2件 | 0件 | 0件 | 2件 | 0件 | 0件 | 0件 |
繊維製品 | 2件 | 0件 | 0件 | 1件 | 0件 | 1件 | 0件 |
合計 | 702件 | 99件 | 31件 | 162件 | 314件 | 89件 | 7件 |
5.社告状況
今期間中に製造事業者等から製品の欠陥や不具合による事故の発生を防止するための社告が33件、38事業者から行われ、「自転車」、「充電器」、「肌着」、「温風暖房機」、「鍋」、「電気ストーブ」、「婦人靴」などの製品について回収、交換等の措置がとられています。
(別添:平成17年度第3四半期社告回収等一覧表)
おわりに
1.事故情報調査結果について
第3四半期に調査の終了した事故情報中、事故原因が判明したもののうち約29%が「製品に起因する事故」であり、「製品に起因する事故」に関しては、必要と考えられるすべてのものについて、製造事業者等による消費者への注意喚起、製品交換、製品の改良などの再発防止措置がとられています。
特に、「製品に起因する事故」には、「直流電源装置(シェーバー用充電器)」、「エンジンスターター(リモコン式)」、「サンダル(子供用)」に関する事故が多数含まれていますが、これらについても、それぞれの製品の製造・販売事業者は新聞紙上に社告を行うことなどにより回収に努めています。
他方、「製品に起因しない事故」のうち、誤使用や不注意によるものが約89%を占めており、「ガスこんろ」を使用中にその場を離れ、天ぷら油やなべが過熱し火災に至ったもの、「石油ストーブ」の上部に干していた洗濯物が落下し火災に至ったもの、「石油ストーブ」の火をつけたまま給油中に灯油がこぼれて火災に至ったもの、「まきふろがま」の焚き口からの火が付近の可燃物に引火し火災に至ったもの、「電気ストーブ」に衣類や布団が近接した状態で使用したため火災に至ったものなど、燃焼器具や採暖器具関連の事故が多くみられます。
2.事故情報収集状況について
第3四半期に収集した事故情報については、「ガスこんろ」、「石油ストーブ」、「電気ストーブ」が関係する火災事故が多数収集されたほか、製造事業者からは「直流電源装置(シェーバー用充電器)」、「エンジンスターター(リモコン式)」等に関して、拡大被害や人的被害が発生する可能性のある情報が多数報告されました。
(問い合わせ先)
独立行政法人 製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター 業務管理課
独立行政法人 製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター 業務管理課
- 電話
- 06-6942-1112
<備考>
◇ 当四半期において調査が終了した事故情報を含む、平成15年度、平成16年度、平成17年度の製品区分別被害状況、製品区分別事故原因、事故原因別被害状況、製品区分別再発防止措置等の実施状況を別表1から別表12に示しております。ご参照ください。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図