製品安全

Vol.454 6月11日号 「エアコン・扇風機の事故」

Vol.454 6月11日号 「エアコン・扇風機の事故」【PDF:616KB】

 暑い夏に活躍する製品として、エアコンや扇風機がありますが、使用頻度が高くなる夏季に製品事故が多く発生しています。製造されてからの年数が経った製品ほど、何かしらの不具合を生じて火災につながるケースが増える傾向にあります。製品にも寿命はありますので、異常が見られたら、直ちに使用を中止してください。また、製品の取扱説明書や据付説明書で禁止されている行為をしたことによる事故も発生しています。特にエアコンでは、誤った内部洗浄や配線を途中接続したことによる火災事故などが発生しています。夏を迎える前に、製品に不具合が生じていないか点検するとともに、取扱説明書などで禁止されている行為をしていないか確認し、快適で安全な夏を過ごしましょう。

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項目一覧

  1. 1.エアコン・扇風機の事故
  2. 2.製品事故収集情報(5月5日~5月18日 受付55件)
  3. 3.リコール情報 5件
  4. 4.その他の製品安全情報
    • ・令和6年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024)募集について
    • ・「2023年度 事故情報収集報告書」公表のお知らせ
    • ・「NITE SAFE-Lite」のご案内
    • ・「2024年度 製品安全基本教育講座」のご案内
    • ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
    • ・Instagram アカウントのご案内

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1.エアコン・扇風機の事故

【エアコンの事例1(経年劣化による事故)】
 
エアコン室外機を焼損し、周辺を汚損する火災が発生しました。
→長期使用(33年)により、室外機内部の電気部品の絶縁性能が低下したため、内部短絡により出火したものと推定されます。

【エアコンの事例2(誤った内部洗浄による事故)】
 
エアコンを使用中、エアコン室内機及び周辺を焼損する火災が発生しました。
→エアコン室内機のファンモーターのコネクター部に、エアコン洗浄時の洗浄剤が浸入、付着したことにより、トラッキング現象※1が生じて火災に至ったものと推定されます。
 なお、日本冷凍空調工業会(JRAIA)では、ホームページ上において、「誤った洗浄剤の選定、使用方法で内部洗浄を行うと、エアコン内部に残った洗浄剤で、樹脂部品の破損、電気部品の絶縁不良などが発生し、最悪の場合、発煙、発火につながる恐れがある。」旨、注意喚起を行っています。
 (※1)非導電部に付着した異物などにより電気の通り道(トラック)が生成され、異常発熱する現象。

【扇風機の事例1(経年劣化による事故)】
 
扇風機を使用中、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生しました。
→長期使用(47年以上)により、扇風機内部の電気部品の絶縁性能が低下し、内部短絡が生じて出火に至ったものと推定されます。
 なお、当該製品の製造事業者は、長期使用の扇風機が電気部品の経年劣化によって発煙、出火し、火災に至るおそれがあることから、2007年9月7日から「長年ご使用の扇風機についてのお知らせとお願い」として、扇風機の使用に当たっての注意事項をホームページに掲載し、異常に気付いたら直ちに使用を止め、販売店等に相談するよう呼び掛けています。

経年劣化で発火する扇風機

【扇風機の事例2(電源コードに過度な力が加わったことによる事故)】
 
扇風機を使用中、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生しました
→扇風機の電源コードに過度な屈曲等の機械的ストレスが加わって半断線状態となり、異常発熱して出火に至ったものと考えられ、製品に起因しない事故と推定されます。

【エアコン及び扇風機を使用する前に気を付けるポイント】
○異常がないか点検する。

 製品の不具合による事故は、事故の予兆となる異常な症状がないかを点検することで防ぐことができる可能性があります。製品が正常に動作することを事前に確認しましょう。
 以下のような異常が発生する場合は、直ちに使用を中止して(電源を切り)、電源プラグをコンセントから抜き、購入店または製造・輸入事業者の修理窓口に相談してください。

<エアコン点検のポイント>
☑ 室内機から水漏れする。
☑ 普段とは違った、異音・異臭がする(室内機及び室外機)。
☑ エラー表示が出る、運転が意図せず停止する。

<扇風機点検のポイント>
☑ スイッチを入れても羽根が回転しない。
☑ 電源コードに触れると急に羽根が回転する/回転が止まる。
☑ 羽根の回転が異常に遅い/不規則で安定しない。
☑ 羽根の回転時に異音/振動がある。
☑ 首振り動作が不規則/異音がする。
☑ モーター部分が異常に熱くなる/焦げ臭いにおいがする。

 特に、製造から長期間経っている製品は、部品が劣化して火災のおそれがあります。2009年4月以降に製造または輸入されたエアコンや扇風機には設計上の標準使用期間が表示されていますので、買い替えの目安としてください。2009年4月より前に製造または輸入された古い製品や、設計上の標準使用期間を過ぎた製品を使い続ける場合は、異常がないか特に注視してください。少しでも異常が見られる場合は直ちに使用を中止し、製造事業者などの専門知識や資格を有する業者に点検を依頼するか、新しい製品に買い替えることをお勧めします。

 また、エアコンについては、上記の異常の点検と併せて、室外機周辺の片付け、清掃もするようにしましょう。室外機の周囲に可燃物が置かれていると、可燃物が着火した際に室外機に燃え移り大きな火災に至るおそれがあります。他にも、ダンボールやごみなどを置いておくと、小動物や虫などのすみかとなり、製品内部に侵入して配線をかじったり、電源基板に接触したりすることによって短絡して発火するおそれもあります。可燃物を置かないように注意してください。

ペットボトルの収れん等

 (※2)水が入ったペットボトルが凸レンズのように作用して、太陽光が一点に集まり、可燃物が発火すること。

○エアコンの取り付け・取り外し・内部洗浄といった工事や作業は、販売店やメーカーに相談し、専門の知識や資格を有する業者に依頼する。
 
エアコンの取り付け・取り外し・内部洗浄といった工事や作業には、専門の知識が必要であり、中には資格が必要なものもあります。また、取扱説明書や据付説明書で禁止されている行為があり、特に以下の行為は重大な事故に至るリスクがありますので注意してください。

⚠電源コード・配線の加工
 電源コードの継ぎ足し接続(ねじり接続)、内外連絡線を途中で接続するような加工は行わないでください。接続不良により、発煙・発火するおそれがあります。
 また、エアコン専用に設置されているコンセントに電源プラグを差し込んでください。エアコンは大電流が流れる場合があるため、延長コードやテーブルタップなどを用いると異常発熱し、発煙・発火するおそれがあります。
 電気工事は、有資格者(電気工事士)による実施が求められています。電源コードや電源プラグに不具合が生じた際は、必ず電気工事業の登録等をしている業者に相談するとともに、コンセントの移設などの電気工事は、電気工事士の資格を有した者によって行われるように依頼してください。
 (参照:経済産業省 家庭用エアコンの設置・修理の工事について)
 https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/koji_2.html

電源コードの継ぎ足し接続部が発火

内外連絡線の途中接続部から発火

⚠エアコンの内部洗浄
 
エアコンの内部洗浄を行う際は、絶対に電源配線、電源基板などやファンモーターなどの電気部品に洗浄液がかからないよう十分に注意する必要があります。誤った方法で内部洗浄を行うと、洗浄液などが電源配線、電源基板などの電気部品に付着してトラッキング現象が生じ、発煙・発火するおそれがあります。
 また、可燃性ガスを含む洗浄スプレーを噴射したために、製品内部に滞留した可燃性ガスに静電気等の火花が引火して出火に至ったケースもあります。
 エアコンの内部洗浄は販売店やメーカーに相談し、専門の知識を有する業者に依頼するようにしてください。

○使用している製品がリコール対象ではないか確認する。
 
エアコン及び扇風機のリコール対象製品による事故が発生しています。リコール開始から10年以上使用した後に発生した事例があり、長期間にわたり使用できている製品であってもリコール対象製品である場合があります。
 事業者、消費者庁、経済産業省及びNITEなどはホームページでリコール情報を掲載しています。お持ちの製品がリコール対象製品かどうかを使用する前に確認してください。リコール対象製品をお持ちの場合は、不具合が生じていなくても直ちに使用を中止し、お買い求めの販売店や製造・輸入事業者に確認や相談をしてください。また、事業者によっては古い製品の使用中止を呼びかけている場合もあります。
 お持ちの製品がそれらの対象かどうかを事前に確認し、事故を未然に防ぎましょう。

【参考】
NITE SAFE-Lite
https://safe-lite.nite.go.jp/
経済産業省 リコール情報
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/index.html
消費者庁 リコール情報サイト
https://www.recall.caa.go.jp/

○リコール情報を知らせるサービスを利用する
 
消費者庁のリコール情報サイトでは、製品の担当省庁等が公表したリコール情報を一元的に集約して提供するメール配信サービスを実施しています。リコール情報を迅速に受け取ることができますのでぜひ活用しましょう。

【参考】
 消費者庁 リコール情報メールサービス
 https://www.recall.caa.go.jp/service/register.php

【注目!新作動画】
○扇風機「6.経年劣化で発火」
 古い扇風機の内部部品(コンデンサー)から発煙・発火した事故の再現映像
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20240530.html

■NITEでは2024年5月30日に注意喚起として『その“レトロ”ちょっと待った~! ~古いエアコン・扇風機の事故に注意~』をプレスリリースしました。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs24053001.html

■その他の情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)

  1. (1) エアコン「2.ねじり接続で発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1251.html
  2. (2) エアコン「3.途中接続で発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/18062801.html
  3. (3) エアコン「4.内部に洗浄液がかかりトラッキング現象で発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1252.html
  4. (4) エアコン「6.外火による室外機の燃焼」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/190627.html
  5. (5) 扇風機「5.内部配線の劣化により発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2017052501.html

(注意喚起ミニポスター)

  1. (1) 扇風機のこんな異常にご注意を!
    https://www.nite.go.jp/data/000154239.pdf

■その他の事故事例は、「NITE SAFE-Lite」で「エアコン」「扇風機」等をキーワードに検索していただけます。
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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2.製品事故収集情報

◆◆◇     消費生活用製品の事故情報収集状況     ◇◆◆

        (5月5日~5月18日 受付55件)
  NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名              (事故状況と件数)
  1. 1.掃除機(充電式)        ( 軽傷等 3件 )
  2. 1.モバイルバッテリー       ( 火災等 3件 )
  3. 1.エアコン            ( 火災等 3件 )
  4. 4.自転車             ( 重傷等 2件 )
  5. 4.電動アシスト自転車       ( 重傷等 2件 )
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 電動アシスト自転車は、走行中、後輪が破断し、転倒、負傷したという1件の同種事故を含みます。

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html

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3.リコール情報

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇令和6年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024)募集について◇◆◆

経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。現在、令和6年度の募集を行っています。
消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、皆様、奮って御応募ください。審査費用は無料です。
なお、応募に関するお悩み等のご相談は、ぜひ個別相談会をご利用ください。

【募集期間】 4月8日(月)~7月19日(金)

【募集対象】  
 ・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
 ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
 ・ネットモール運営事業者

【個別相談会】 オンラインでの実施となります。詳しくはHPをご確認ください。

【詳細】https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html

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◆◆◇  「2023年度 事故情報収集報告書」公表のお知らせ ◇◆◆

NITEは2024年5月29日、「2023年度 事故情報収集報告書」を公表しました。 「事故情報収集報告書」は、2023年度までに収集した事故情報(2024年3月31日の集計結果)を取りまとめた報告書です。事故情報受付件数の推移、被害状況と被害者年代などの集計結果をはじめ、NITEが行った事故情報収集・調査結果、注意喚起情報の公表について記載しています。

【事故情報収集報告書】
 https://www.nite.go.jp/jiko/report/annual/2023fy/2023.html

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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆

NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。

「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。

令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。

【NITE SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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◆◆◇「2024年度 製品安全基本教育講座」のご案内◇◆◆               

一般社団法人KEC関西電子工業振興センター

「2024年度 製品安全基本教育講座」
- 製品安全の基本を学ぶ -
製品安全に関する最先端の規格動向が身につきます

本講座は製品安全の基本から個別の製品についてのIEC安全規格の具体的な要求事項に加えて、IEC 62368-1や電気用品安全法の技術基準の性能規定化等の最新情報を盛り込んでいます。全講義を通して受講することにより、製品安全の基本事項を幅広く修得してもらうことを目的としています。
また、受講者の担当する製品や知識レベルに応じて、必要な講座だけを選択受講することも可能です。

なお、オンライン開催の手続きのため、募集締切が開催1か月前と従来より早く設定されているため、受講ご希望の方はお早めに申込をお願いします。
【開催期間】 2024年 8月29日(木)~ 2025年 2月7日(金)(通年全6回/選択受講可)
【会 場】  Zoomによるオンライン
【参加費】  KEC会員 7,700円/非会員 11,000円 (1講座/1日 当たり)
【詳 細】  https://www.kec.jp/img/committee/2024/anzen24.pdf
【申込先】  https://www.kec.jp/seminar/anzen24/  

問合せ先: 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
      専門委員会推進部  事務局 藤田 泰男
      TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp

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◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆

消費者庁

消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆

 NITEでは、公式アカウントを開設しております。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!

 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 最近知ったのですが、紫外線は目からも吸収されるらしいです。夏にサングラスをかけている人を見るとおしゃれだなと思っていましたが、ちゃんと意味があったのですね!目から入る紫外線をカットすると身体の疲労感を軽減できるらしいです。これは夏苦手民としては見逃せない情報なので、早速お出かけ用に紫外線カット機能の付いたメガネを購入しました。ちなみに紫外線カット効果は、レンズの色の濃淡ではなく、紫外線カット機能の有無が関係するので、クリアレンズでも紫外線をカットできます。今年の夏は夏バテせずに元気に過ごしたいです!(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図