製品安全

Vol.431  6月27日号 「夏に向けて気を付けたい事故」

梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、梅雨が明けたら今年も暑い夏になりそう
です。今回は夏に発生しやすい、誤った取り扱い等による製品事故を紹介しま
す。“携帯用扇風機の購入時の選択及び使用時の取り扱いによる事故”、“モ
バイルバッテリーなどを自動車内に放置したことによる事故”、“防水性の衣
料・繊維製品を洗濯機で洗ってしまったことによる事故”を取り上げます。思
わぬ被害を未然に防ぐため、事故防止のポイントを確認してください。

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項目一覧

  • 1.夏に向けて気を付けたい事故
  • 2.製品事故収集情報(6月4日~6月17日 受付 85件)
  • 3.リコール情報(2件)
  • 4.その他の製品安全情報
    ・令和5年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2023)募集について
    ・「SAFE-Lite」のご案内
    ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
    ・Instagram アカウント開設のお知らせ

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1.夏に向けて気を付けたい事故

【携帯用扇風機※1の事例】
 ネット通販で購入した携帯用扇風機を充電中、携帯用扇風機と周辺を焼
 損する火災が発生しました。リチウムイオンバッテリーが内部ショート
 して異常発熱し、焼損したものと考えられます。製造事業者名は記載さ
 れておらず、販売店の連絡先は中国となっていました。

(※1)本マガジンでは、充電式の持ち運び可能な扇風機を携帯用扇風機とし
     ています。

→携帯用扇風機の購入及び使用で気を付けるポイント
○製品を選ぶ際は、製造・輸入・販売事業者と連絡が取れることを一つの
 基準とする。
 インターネットで購入した携帯用扇風機での事故が発生しています。事
 故発生後に事業者に問い合わせようとしても連絡先が不明である、連絡
 してもつながらない、日本語が通じないなど問い合わせができない場合
 があります。その場合、事故が多発したとしてもリコール等の措置がな
 されないことがあります。製品を選ぶ際は、事業者と連絡が取れること
 を一つの基準としてください。

○充電時は異常※2がないか時々様子を見て確認する、近くに物を置かな
 い、就寝中は充電しない。
 様子が見え、体から離れた場所、かつ周囲に可燃物がない場所で充電し
 てください。また、就寝中の充電は、事故に気付けないおそれがありま
 す。特に枕元での充電は、周囲に布団などの可燃物があることから大変
 危険です。

 (※2) 異常とは「充電できなくなる」、「電池部分が以前と比べて非常に
         熱くなる」、「電池が膨らむことで本体が膨らむ」などを指します。

○落としたり強い衝撃を与えたりしない、破損したものは使用しない。
 手をすべらせて落下するなど携帯用扇風機に外部から衝撃が加わりリチ
 ウムイオンバッテリーがへこむなどすると、内部ショートが生じ発煙や
 発火するおそれがあります。持ち運ぶときは衝撃が加わらないように注
 意してください。
 強い衝撃を与えてしまった場合は、使用を中止して製造・輸入・販売事
 業者の修理窓口に相談してください。

【モバイルバッテリーの事例】
 日中、屋外駐車場に駐車中の自動車内に、モバイルバッテリーを充電コ
 ードのみ接続した状態で置いていたところ、製品及び周囲の座席シート
 が焼損しました。車を離れるまでモバイルバッテリーはスマートフォン
 を充電していました。11時頃に駐車して車を離れ、13時頃に出火しまし
 た。
 事故発生当時の天気は快晴、気温30℃であり、高温の自動車内に放置し
 ていたことが要因の一つと考えられます。

→高温の自動車内で気を付けるポイント
○モバイルバッテリー、スプレー缶などの高温下での使用や保管を禁止し
 ている製品は自動車内に放置しない。

●モバイルバッテリー(リチウムイオンバッテリーを使用している製品)
 リチウムイオンバッテリーは熱の影響で異常な反応が起きて発熱・破裂・
 発火するおそれがあります。ノートパソコン・携帯電話といった電子機
 器も同様です。

●スプレー缶
 虫よけスプレーや冷却スプレーなど高圧ガスが使われているエアゾール
 缶には、噴射剤にLPガス(プロパン、ブタン)やDME(ジメチルエーテル)
 が使用されています。エアゾール缶が高温にさらされると、これらの噴
 射剤が気化して内部圧力が上昇し、エアゾール缶が破裂することがあり
 ます。

【洗濯機の事例】
 使用中の洗濯機から異音がし、洗濯機が転倒しました。
 防水性のシャワーカーテンを洗濯したため、脱水時に回転が不安定とな
 って異常振動し、転倒したものと考えられます。なお、本体表示及び取
 扱説明書には、「防水性のシートや衣類は、洗い、すすぎ、脱水をしな
 い。異常振動により本体が転倒するおそれがある。」旨、記載されてい
 ます。

→洗濯機の使用で気を付けるポイント
○防水性の衣料・繊維製品※3の洗濯機での洗濯・脱水は行わない。
 防水性の衣料・繊維製品は、水を通さないため洗濯槽の中に水がたまっ
 てしまいます。脱水時に、そのたまった水が急激に移動し、洗濯槽の回
 転バランスが瞬時にくずれるため、異常振動を引き起こすと考えられま
 す。脱水時の異常振動により、洗濯物が飛び出したり、衣類が損傷した
 り、時には洗濯機や周囲の壁や床などを破損することがあり、大変危険
 です。また、洗濯機が転倒することもあります。
 防水性の衣料・繊維製品は、全自動洗濯機・ドラム式洗濯機の洗濯槽や、
 二槽式洗濯機の脱水槽には、絶対に入れないでください。
 防水性の衣料・繊維製品かどうかわからないときは、繊維製品に口をつ
 けて息を吹き込んでください。空気が通らないものは防水性の衣料・繊
 維製品です。

 (※3) 洗濯機に入れてはいけない防水性の衣料・繊維製品とは、次のよう
         なものです。
         レインウエア、ウェットスーツ、自転車・バイク・自動車のカバー、
         オムツカバー、サウナスーツ、寝袋、キルティング生地の製品、ス
         キーウエア、レジャーシート、おねしょシーツなど

(参考)一般社団法人日本電機工業会 防水性の衣料・繊維製品の洗濯機でのお洗濯・脱水のご注意
            https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/sentakuki/bousui.html

■NITEでは2023年6月27日に夏に向けて気を付けたい事故に関する注意喚起
 『“ジメジメ梅雨とギラギラ猛暑”で増える製品事故のリスク
 ~夏に向けて気を付けたい事故~ 』をプレスリリースしました。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/prs23062701.html

■その他の夏に向けて気を付けたい事故の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
 (1)モバイルバッテリー「6.高温下に放置して発火」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/23062701.html
 (2)携帯用扇風機「1.損傷したバッテリーが破裂」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2021062401.html
 (3)携帯用扇風機「2.ごみとして捨てて発火」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2021062402.html
 (4)ファンヒーター「2.スプレー缶の破裂」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03110201.html
 (5)洗濯機「2.脱水時に転倒」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/01310102.html

(注意喚起ミニポスター)   
 (1)夏に気を付けたい事故
 https://www.nite.go.jp/data/000149103.pdf
    
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「携帯用扇風機」「モバイ
 ルバッテリー」等をキーワードに検索していただけます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(6月4日~6月17日 受付 85件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名             ( 事故状況と件数 )

1.二酸化炭素測定器         ( 拡大被害等 10件 )
2.モバイルバッテリー    ( 火災等 5件 )
2.バッテリー                  ( 火災等 5件 )
4.ポータブル電源            ( 火災等 4件 )
5.自転車                        ( 重傷等 3件 )


最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

  • アイリスオーヤマ株式会社(法人番号:3370001006799)
      「電気こたつ」2023/05/15(HP)
        【詳細】https://www.irisohyama.co.jp/news/2023/?date=0515
  •  
  • YETI Coolers, LLC(法人番号:外国法人のため該当無し)
      「保冷バッグ」2023/05/02(HP)
        【詳細】https://aandf.co.jp/news/release/news_2023_release_yeti_hopper_recall

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4.その他の製品安全情報

・令和5年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2023)募集について

 経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する
 「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。
 現在、令和5年度の募集を行っています。
 消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、
 皆様、奮って御応募ください。審査費用は無料です。
 なお、応募に関するお悩み等のご相談は、ぜひ個別相談会をご利用ください。

 【募集期間】 4月3日(月)~7月21日(金)
 【募集対象】
  ・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
  ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
  ・ネットモール運営事業者
 【個別相談会】 オンラインでの実施となります。詳しくはHPをご確認ください。
 【詳 細】 https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html

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・「SAFE-Lite」のご案内      
        
 NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
 情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
 ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
 中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
 「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。

 「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
 スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
 6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
 いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

 「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
 よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故とな
 る危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止
 につながることを期待しています。

 【SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 
                           消費者庁
 
 消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
 あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
         6/13     11件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230613_01.pdf

         6/16     11件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230616_01.pdf

         6/20      6件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230620_01.pdf

         6/23     16件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230623_01.pdf

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・Instagram アカウント開設のお知らせ

 NITEでは、このたび公式アカウントを開設しました。
 NITE製品安全センターでは、家庭用電気製品等の事故の原因究明を再現実
 験により検証し、その結果を情報発信することで、製品による事故の未然
 防止に貢献しています。
 シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信してい
 きますので、フォローやいいねをお待ちしております!

 Instagramアカウント→@nite_japan
 

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編集後記

今回お伝えした「夏に向けて気を付けたい事故」は、PSマガジンの配信と同じ
日にプレスリリースもさせていただきました。今回初めてプレスリリースも担
当したのですが、このPSマガジンを読んでいただいて、また、プレスリリース
を見ていただいて、1件でも製品事故が減ると良いなと思います!(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図