Vol.428 5月16日号 「こどもの自転車の事故」
暖かくなり自転車※1に乗るのが気持ち良い季節になりました。家族でサイク
リングを楽しむ方も多いのではないでしょうか。しかし好奇心旺盛なこども※2
は、大人に比べて危険かどうか判断することが難しいため、自転車の事故の
被害者になってしまうケースが少なからずあります。楽しいお出かけにする
ために事故を防ぐポイントを確認してみてください。今回はこどもの自転車
の事故をご紹介します。
(※1) 「自転車」には、一般用自転車、幼児用自転車、電動アシスト自転車、
スポーツ車、折りたたみ自転車、幼児用座席を含みます。
(※2)本メールマガジンでは、0歳から14歳までを「こども」としています。
項目一覧
- 1.こどもの自転車の事故
- 2.製品事故収集情報(4月16日~5月6日 受付 83件)
- 3.リコール情報(3件)
- 4.その他の製品安全情報
・令和5年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2023)募集について
・「SAFE-Lite」のご案内
・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.こどもの自転車の事故
【0歳から4歳までのこどもの事故】
「幼児用自転車を使用中、指を挟み込んだ」
こどもが幼児用自転車を停車状態で使用中、ほかのこども(1歳)がチェー
ン付近に手を入れて左手指を挟み、負傷しました。
チェーンとギヤが露出しており、容易に触れることができる構造であった
ため、こどもがペダルを逆回転させて遊んでいる際に、動いていたチェー
ンとギヤの間にほかのこどもが手を入れたことで指が挟まれたものと考え
られます。
■「幼児用自転車」を購入する際のポイント
○チェーンケースが付いた、より安全な製品の検討をお勧めします。
チェーンケースは、衣服や手足の巻き込みを防止するための保護装置で
す。
日本産業規格(JIS D 9302:2019)を満たしている幼児用自転車では、
チェーンとギヤを内側・外側と外縁すべてを覆っているチェーンケース
もあります。
■「0歳から4歳までのこどもの事故」を防ぐためのポイント
○不用意に自転車にこどもを近づけないよう、保護者はこどもから目を離
さない。
「指を挟み込む事故」は、こどもが自転車を使用中に、ほかのこども
(特に1歳から2歳)が自転車に近づいて、回転部分に手を触れることで
多く発生しています。車輪、チェーン、ギヤには手や足を絶対に触れな
いように、保護者がしっかりと見守りましょう。
※大人が使用する自転車にも注意してください。
一般用自転車やスポーツ車等には、一部のギヤやチェーンが露出してい
るものや、チェーンケース自体が備え付けられていないものがあります。
それらの自転車の回転部分にこどもが触れてしまうと重傷を負う事故に
つながってしまいますので、絶対に触れないように見守りましょう。
○幼児用座席にこどもを乗せ降ろしする際は抱いて行う。
乗せ降ろしの際にシートの足乗せ部に強い力を加えたり、立ち上がった
りすると、想定以上の力が加わり足乗せ部が破損するおそれがあるので、
こどもは保護者が抱いて乗せ降ろししてください。
○幼児用座席にこどもを乗せたまま離れない。
こどもを乗せた自転車が倒れると、こどもが地面にぶつかり、けがを負
うおそれがあるので、絶対にこどもを乗せたまま、自転車から離れない
でください。また、バランスを崩しやすいため、傾斜地などに絶対に駐
輪しないでください。
○幼児用座席の足乗せ部が壊れた状態で使用しない。
足乗せ部が脱落した状態の幼児用座席に乗ったこどもの足が、走行中の
後輪に挟まれた事故が発生しています。また、乗車制限を超えた年齢の
こどもを同乗させて発生した事故もあります。幼児用座席に同乗させて
よいのは、小学校就学前のこどもです。足乗せ部はしっかり固定し、
利用制限を守って正しく使用しましょう。
○シートベルトとヘルメットを確実に着用する。
こどもを自転車に乗車させる時には、必ずシートベルトを締めて、ヘル
メットを着用させてください。こども以外の方が自転車に乗車する時も、
ヘルメットを着用してください。
(2023年4月1日より自転車利用時のヘルメット着用が全年齢で努力義務
化されました。)
【5歳から14歳までのこどもの事故】
「自転車を走行中に、前輪がロックして転倒した」
自転車で下り坂を走行中、急に前輪がロックして転倒し、骨折しました。
走行中に前輪の泥よけの後端部に足が接触するなどして、泥よけが前輪
に巻き込まれたため前輪がロックしたものと考えられます。
■「5歳から14歳までのこどもの事故」を防ぐためのポイント
○走行中は、足が車輪や泥よけに接触しないように、つま先で確実にペダ
ルを踏む。
足が車輪や泥よけに接触すると、車輪に巻き込まれて、急にロックして
転倒するおそれがあります。
○ハンドルにものをぶら下げて走行しない。
ハンドルにかばん、袋などの荷物をぶら下げていると、車輪に巻き込ま
れてロックし、バランスを崩して転倒するため危険です。荷物はハンド
ルにぶら下げたりせず、かごに入れてください。
○乗車前に車輪やハンドル、ペダルの緩みやブレーキの効き具合を確認す
る。
乗車前には必ず、車輪やハンドル、ペダルに緩みやがたつきがないか確
認してください。固定が甘い状態で使用を続けると走行中に外れるなど
して大きな事故が発生するおそれがあります。また、ブレーキの効きが
甘い状態で走行を続けると、制動不良などによって転倒するおそれがあ
ります。必ず乗車前にブレーキの効きを確認してください。
○購入後、初期点検を受ける。
自転車を購入してから一ヶ月ほど経過したら必ず初期点検を受けてくだ
さい。自転車は新車で乗り始めてからしばらくするとブレーキワイヤー
の伸びやネジの緩みなどが発生します。再度調整が必要になるので、必
ず初期点検を受けてください。
■NITEでは2023年4月27日にこどもの自転車の事故に関する注意喚起
『あなどらないで、こどもの好奇心~目を離した隙の自転車事故に注意!
~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/prs230427.html
■その他のこどもの自転車の事故の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
(1)自転車「4.泥よけの巻き込み」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03010103.html
(2)自転車「11.異物を巻き込み前輪がロック」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021032502.html
(3)自転車「13.こどもが自転車で指を切断2」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2023042701.html
(4)自転車用幼児座席「1.子どもの足が後輪に挟まれる」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03230203.html
(5)自転車幼児座席「3.幼児座席を取り付けた自転車のふらつきと傘の巻き込み」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2019031901.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)こどもの自転車の事故
https://www.nite.go.jp/data/000146127.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「こども」「自転車」等を
キーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(4月16日~5月6日 受付 83件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
1.洗面化粧台 ( 軽傷等 10件 )
2.椅子 ( 重傷等 5件 )
2.メジャー ( 軽傷等 5件 )
4.電動アシスト自転車 ( 重傷等 4件 )
5.携帯電話機 ( 火災等 3件 )
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- イケア・ジャパン株式会社(法人番号:1040001021866)
「玩具」2023/03/22(HP)
【詳細】https://www.ikea.com/jp/ja/customer-service/product-support/recalls/20230322-blavingad-fishing-game-pub35770e10 - 富士山の銘水株式会社(法人番号:8090001010874)
「ウォーターサーバー」2023/03/13(HP)
【詳細】https://every.frecious.jp/news/2023/03/29/%E3%80%8C%E3%82%A8%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%A3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%80%8D%E8%A3%BD%E5%93%81%E5%9B%9E%E5%8F%8E%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8A%E8%A9%AB%E3%81%B3%E3%81%A8%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/ - シマノセールス株式会社(法人番号:4120101003407)
「自転車(ステム)」2023/04/03(HP)
【詳細】https://bike.shimano.com/ja-JP/information/jp-news/recall-notice-vibe-stem-alloy-20230403.html
4.その他の製品安全情報
経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する
「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。
現在、令和5年度の募集を行っています。
消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、
皆様、奮って御応募ください。審査費用は無料です。
なお、応募に関するお悩み等のご相談は、ぜひ個別相談会をご利用ください。
【募集期間】 4月3日(月)~7月21日(金)
【募集対象】
・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
・ネットモール運営事業者
【個別相談会】 オンラインでの実施となります。詳しくはHPをご確認ください。
【詳 細】 https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html
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・「SAFE-Lite」のご案内
情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。
「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故とな
る危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止
につながることを期待しています。
【SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
経済産業省
令和5年4月26日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式
会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定
期報告がありました。令和5年3月1日から31日までの本体・バッテリー
交換件数は27件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11
日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は308,012件となっています。
https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou230427_1.pdf
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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230425_01.pdf
4/28 16件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230428_01.pdf
5/2 12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230502_01.pdf
5/9 11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230509_01.pdf
5/12 15件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230512_01.pdf
編集後記
本メールマガジンが自転車に乗る際の一時停止や安全確認が必要な場所、自転
車でやってはいけないことなどを親子で話し合うきっかけになったら嬉しいで
す。時にはこどもが自転車に乗っている姿を確認して、危険な乗り方をしてい
ないかをチェックすることも必要です。自転車に乗り慣れているこどもであっ
ても、保護者が危機感を持って見守り、指導することが大切です。(ゆ)
次回は第5火曜日(5/30)発行です。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図