Vol.389 9月28日号 「電動車いすの事故」
電動車いすは歩行に困難を感じる高齢者や障がいのある人にとって、行動範囲を広げてくれるとても便利で、自立した社会生活の支援に欠かせない製品です。しかし、不注意や運転を誤ると事故に直結するおそれがあります。
今回は電動車いすの事故を紹介します。
項目一覧
- 1.電動車いすの事故
- 2.製品事故収集情報(8月29日~9月18日 受付 124件)
- 3.リコール情報(1件)
- 4.その他の製品安全情報
・リスクアセスメントツール「SAFE-Pro」のご案内
・SAFE-Liteのご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.電動車いすの事故
【事例1】
電動車いすに乗車中に、踏切内で前輪が線路の溝部分に入り込んで操縦できなくなり、立ち往生して、列車と接触した。
→踏切内の線路の溝にタイヤの痕が残っていたことから、電動車いすのタイヤが線路の溝にはまり、動けなくなったため事故に至ったものと考えられる。
【事例2】
電動車いすに乗車中、踏切内で電動車いすが停止し、立ち往生して列車と接触し、負傷した。
→電動車いすに異常は認められず、バッテリー不足による電圧低下のエラーが記録されていたことから、使用者がバッテリーの残量が少ない状態で踏切内に進入し、バッテリーが切れて踏切内で停止したものと考えられる。
【事例3】
電動車いすで走行中、岸壁の車止めにぶつかり、海に転落して死亡した。
→使用者が運転操作を誤り、岸壁の車止めにぶつかり、跨がるように乗り上げて転倒したため、海に転落したものと考えられる。
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【事例1の注意事項】
重大な事故につながるおそれがあるため、踏切の横断はできるだけ避けましょう。やむを得ず踏切内を通行するときは、脱輪や線路の溝にタイヤが挟まることを避けるため、ハンドルをしっかりと握り、線路に対して直角に渡ってください。
【事例2の注意事項】
電動車いすを使用する際には、バッテリー残量を必ず確認してください。残量が少ないまま利用すると、途中でバッテリーが切れることで止まってしまうおそれがあります。充電時期の目安は付属の取扱説明書をご確認ください。
【事例3の注意事項】
側溝や水路などへ転落した事故や岸壁から落下した事故などが発生しています。道の端を通行することは避けてください。
■NITEでは2021年9月17日に電動車いすの製品事故に関する注意喚起
「高齢者の事故防止~電動車いすの利用で気を付けたいこと~」
をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2021fy/prs210917.html
■その他の電動車いすの事故情報も併せてご参照ください。
(再現実験映像)
(1)電動車いす「6.路肩で脱輪」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03260102.html
(2)電動車いす「8.後進時に脱輪」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/1152.html
(3)電動車いす「9.踏切事故(ハンドル型)」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2018122001.html
(4)電動車いす「10.踏切事故(ジョイスティック型)」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2018122002.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)電動車いすの踏切事故
https://www.nite.go.jp/data/000096183.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「電動車いす」等をキーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(8月29日~9月18日 受付 124件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名( 事故状況と件数 )
- 1.エアコン(火災等 13件)
- 2.モバイルバッテリー(火災等 8件)
- 3.ノートパソコン(火災等 7件)
- 4.電動アシスト自転車(火災等 6件)
- 5.自転車(重傷等 4件)
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- ・株式会社アルテリア(法人番号 2030001027491)
「高所作業用下降器、ランヤード」2021/09/01(HP)
【詳細】https://www.alteria.co.jp/professional/safety-info-zigzag_zigzag-plus_zillon/
4.その他の製品安全情報
・リスクアセスメントツール「SAFE-Pro」のご案内
NITEではこのたび「SAFE-Pro」の利用申請受付を開始しました。
「SAFE-Pro」は、事業者の皆様が製品の開発・設計段階や市場品質の改善に
向けた取り組みを加速することを念頭に、NITEが保有する製品事故に関する
情報を事故発生シナリオとしてWeb上から参照できるよう開発したリスクアセ
スメントツールで、用途に応じて様々な検索を行うことができます。
SAFE-Proは、下記ページから利用申請を受け付けています。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-pro.html
2019年11月から製造事業者を中心にインストール用DVDで提供しています
(利用者申請が必要)。
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・SAFE-Lite
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報
を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、
リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。
NITEのホームページでは事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できる
「SAFE-Lite」をサービス提供しております。
「SAFE-Lite」は、製品の危険性を評価するリスクアセスメント・ツール
「製品事故予測システムSAFE」の「あいまい」機能をWeb化したシステムです。
NITEのホームページから「SAFE-Lite」へアクセスできます。
お使いの製品で異常を感じた際に、「SAFE-Lite」で事故となる危険性を調べる
ことで、必要な対策の参考情報を得ることができます。
ご利用の際は、製品の利用者が普段お使いの言葉で、製品事故が発生する前に
みられる「予兆(現象)」情報を「SAFE-Lite」に入力すると、同じ現象の事故だけ
ではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故
となる危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待しています。
SAFE-Lite サイト
https://safe-lite.nite.go.jp/
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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 9/17 17件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210917_01.pdf
- 9/24 13件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210924_01.pdf
- 9/28 8件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210928_01.pdf
編集後記
電動車いすと一般的な歩行者が接触した場合、交通事故の統計には含まれません。これは電動車いす同士の接触などもそうですし、単独でどこかに衝突した場合も同様です。これは、電動車いすが道路交通法では歩行者と扱われるためですが、実際のところ100kgを超える機械が軽いジョギングほどの速度でぶつかってきたらと考えると少し怖いです。事故事例として挙げたものは使用者の方が被害に遭われた事故ばかりですが、一般の歩行者がぶつかられるような事故も実際は発生しているということは覚えておきたいものです。
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図