Vol.375 2月22日号 「一酸化炭素中毒の事故」
先日、大雪で動けなくなった車内に排ガスが充満し一酸化炭素中毒になったと考えられる事故がありましたが、車や火災以外でも、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。一酸化炭素には、色や臭いはなく、毒性がとても高く少量でも大変危険です。
今回は、一酸化炭素中毒の事故をご紹介します。
項目一覧
- 1.一酸化炭素中毒の事故
- 2.製品事故収集情報(2月7日~2月20日 受付109件)
- 3.リコール情報(2件)
- 4.その他の製品安全情報
・SAFE-Liteのご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
・PL対策セミナー開催のご案内
1.一酸化炭素中毒の事故
【事例1】
一酸化炭素中毒により1名が死亡し、現場に携帯発電機があった。
→停電時に携帯発電機を屋内で使用したため、排ガスが滞留し、一酸化炭素濃度が上昇して事故に至ったものと考えられる。
なお、取扱説明書には、「排ガス中毒のおそれがあるため、排ガスがこもる場所で使用しない。排ガスは一酸化炭素などの有害成分を含んでいる。」旨、記載されている。
【事例2】
ガス給湯器を使用中、一酸化炭素中毒により1名が死亡、1名が軽症を負う事故が発生した。
→ガス給湯器を使用中に換気扇を使用していなかったため、換気不良により一酸化炭素が室内に滞留し、事故に至ったものと考えられる。また、長期間の使用(約34年)によって、ガス給湯器にほこりとすすの詰まりによって一酸化炭素濃度が高かったことも事故発生に影響したものと考えられる。
なお、取扱説明書及び本体表示には、「換気を行ってください。」、「炎の異常がある場合販売店又は弊社にご相談ください。」、「定期的に点検を行い、ほこりやすすがたまっていた場合、販売店に相談ください。」旨、記載されている。
【事例3】
石油ストーブを使用していたところ、一酸化炭素中毒で1人が死亡した。
→燃焼空気取入口に多量のほこりの堆積がみられ、密閉された室内で使用したため、給気不足から不完全燃焼状態となって一酸化炭素が発生し、就寝中で異常に気づかず、一酸化炭素中毒で死亡したものと考えられる。
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【事例1の注意事項】
携帯発電機の排ガスには一酸化炭素などの有害物質が含まれています。換気が不十分な場合、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。屋内や換気の悪い場所などの排ガスがこもる場所(物置・倉庫、車内、テント内など)では、絶対に使用しないでください。
【事例2の注意事項】
給湯器を使用する際は、換気扇を回すか窓を開けるなどして、必ずこまめに換気をしてください。換気が不十分だと室内の酸素が減少し、不完全燃焼による一酸化炭素中毒になるおそれがあります。
また、長期間使用しているとほこりやすすがたまり、不完全燃焼が起き一酸化炭素中毒になるおそれがあります。使用中に火が消える、異常な臭いがする、炎が変色している、すすが付着しているなどの異常が見られた場合は、ガス事業者や製造事業者などに連絡し点検を受けてください。
【事例3の注意事項】
石油ストーブなどの暖房器具を使用する際は、必ずこまめに換気をしてください。また、就寝時には使用せず、寝る前に確実に消火してください。テント内や車内などでは、石油ストーブなどの暖房器具やガスこんろなどのガス器具は使用しないでください。一酸化炭素中毒や酸欠によって窒息し、死亡するおそれがあります。石油ストーブの置き台や反射板などにたまったほこりは、掃除機で吸い取ったり、柔らかい布などでこまめに拭き取ったりしてください。また、燃焼筒にごみ、ほこりやタールなどが付着していないかを点検し、ごみやほこりなどはふきとり、タールはドライバーの先端やブラシなどで取り除いてください。
■NITEでは2021年1月28日に一酸化炭素中毒の事故事例などを含めた冬の事故をプレスリリースしています。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2020fy/prs210128.html
■その他一酸化炭素中毒に関する事故情報も併せてご参照ください。
(再現実験映像)
(1)携帯発電機「1.室内で使用して一酸化炭素中毒」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2021012801.html
(2)石油ストーブ「9.換気不足による不完全燃焼」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03280102.html
(3)ファンヒーター「1.換気不足による不完全燃焼」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03280103_2.html
(4)カセットこんろ「4.換気不足による不完全燃焼」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03280103_1.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)携帯発電機による一酸化炭素中毒
https://www.nite.go.jp/data/000119246.pdf
(2)一酸化炭素中毒の事故
https://www.nite.go.jp/data/000004864.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「一酸化炭素中毒」、「CO中毒」等を
キーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(2月7日~ 2月20日 受付109件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
- 1. ACアダプター (火災等 17件)
- 2.包丁 (軽傷等 7件)
- 3.石油ストーブ (火災等 4件)
- 4.電動アシスト自転車 (重傷等 4件)
- 5.電動工具用バッテリー (火災等 3件)
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- ・グロウ株式会社 (法人番号 4120001130929)
「ロンパース」 12/24(HP)
【詳細】 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/recall_new/2020/2020122401.html - ・株式会社ドーム (法人番号 7010701015264)
「衣類(トレーニングウェア)」 1/6(HP)
【詳細】 https://www.underarmour.co.jp/ja-jp/contact-us/customer-important.html
4.その他の製品安全情報
SAFE-Lite
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、
リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。
NITEのホームページでは事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できる
「SAFE-Lite」をサービス提供しております。
「SAFE-Lite」は、製品の危険性を評価するリスクアセスメント・ツール
「製品事故予測システムSAFE(※)」の「あいまい」機能をWeb化した
システムです。NITEのホームページから「SAFE-Lite」へアクセスできます。
※SAFE(System for Accident Forecasting Events)は、2019年11月から製造
事業者を中心にインストール用DVDで提供しています(利用者申請が必要)。
お使いの製品で異常を感じた際に、「SAFE-Lite」で事故となる危険性を調べる
ことで、必要な対策の参考情報を得ることができます。
ご利用の際は、製品の利用者が普段お使いの言葉で、製品事故が発生する前に
みられる「予兆(現象)」情報を「SAFE-Lite」に入力すると、同じ現象の事故だけ
ではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故
となる危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待してます。
SAFE-Lite サイト
https://safe-lite.nite.go.jp/
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消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
2/12 23件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210212_01.pdf
2/16 19件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210216_1.pdf
2/19 18件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210219_01.pdf
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【最新!PL対策セミナー2021年3月18日開催】のご案内 主催:一般社団法人PL対策推進協議会
協議会主催のZoom配信による「最新!PL対策セミナー」です。
昨年は、大きなリコール案件が表に出て、企業の屋台骨を脅かす事態にもなりか
ねない事態になりました。
国が進めるSociety5.0「超スマート社会での製品安全」にどう対応していくか。
本質的な製品事故をなくすために「製品事故未然防止・再発防止」をどう進める
か。製品安全に対する国の方針も大きく変わり、その指導が本格化します。対応
する準備はお済でしょうか。
当日はPL対策の第一人者、一社)PL研究学会の渡辺吉明氏に解説をお願いしています。
●日時 令和3年3月18日(木) 13:30~16:10 休憩10分
受講方法 : Zoom配信が基本(会場参加希望者数名まで受け付けます)
当日開始時刻の30分前に、Zoomミーティングに参加するURLをメールで配信いたします。
●資料代 3,000円(税込み) 事前にPDFデータでお届けいたしますので3月
15日までお振り込みください。
●講師 渡辺吉明氏
一社)PL研究学会製品リコール研究部会長・製品リコール検討委員会副委員長
●「最新!PL対策2020」~広義の品質保証とPL対策~(事業者向け導入ガイド)
の事前視聴をお勧めします。動画とPDF資料が用意されています。
https://pl-taisaku.org/?page_id=2304
●配布資料 PDFデータにて事前にメール添付で配信いたします。
「超スマート社会での品質保証とPL対策」~製品事故未然防止と再発防止~48ページ
「PL研究学会学会誌2020 新PL研究5号」からの抜き刷り16ページ
一般論文「製品リコールと自主回収のプロセスと重要事項」渡辺吉明氏
●内容 製品事故の未然防止と再発防止
一部 13:30~15:00(90分)
社会構造の変化、国の方向転換、製品安全のスマート化、リコールなどの国の取
り組みなど、さらにリコールプロセスにで「自主回収・リコール」の整理とPDCA、
重要事項の確認になります。
二部 15:10~16:10(60分)
リコール対応について事例紹介、所々で質問や意見をいただきます。特に本体表
示の高度化と取説の有効利用、取説や証明書のペーパーレス化を進め配信を行う
ことの重要性なども入れる予定です。
●お申し込み、詳細は以下のページから 次回は2021年5月20日(木)開催の予定です。
https://pl-taisaku.org/?p=2456
●なお、4月24日(土)に当協議会の年度大会を開催予定です。製品安全の
最新情報をご提供できるよう準備を進めています。
編集後記
コロナウイルス感染症が流行し始めて、1年ほど経ちます。マスク姿が日常となり、飛沫感染を防ぐ一助となっています。でも、咳などをされると少し気になります。目に見えないものに対しては、どうして恐怖心を抱いてしまうものです。一酸化炭素も無色・無臭のため、気付かないうちに中毒症状になってしまいます。そのため、サイレントキラーとも呼ばれています。最悪の場合、急に倒れそのまま死に至ることもあります。ものが不完全燃焼した際に、多く発生するため燃焼機器を使う際は、換気することが重要です。また、早期に気付くために、一酸化炭素警報器を取付けるのも有効な手段です。
PSマガジン配信先の紹介等PSマガジンの普及にご協力をお願い致します。また、社内報や広報誌、回覧板などへの掲載も歓迎致します。
PSマガジンに関するお問い合わせ、「その他の製品安全情報」欄へ掲載のご希望などがありましたら、以下のメールアドレスまでご連絡ください。
Eメール:ps【アットマーク】nite.go.jp
(メールを送る際は【アットマーク】を@に変えてください)
配信停止、パスワード変更等は以下URLよりお願いいたします。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/index.html
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図