製品安全

Vol.374  2月9日号 「除雪時の事故」

今冬は、豪雪や大寒波の影響などで除雪作業中の事故が相次ぎ発生しています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で除雪作業の担い手が不足し、比較的高齢の方が慣れない作業をする地域もありより一層注意が必要です。今回は除雪時の事故をご紹介します。

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項目一覧

  • 1.除雪時の事故
  • 2.製品事故収集情報(1月24日~2月6日 受付79件)
  • 3.その他の製品安全情報
    ・SAFE-Liteのご案内
    ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
    ・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
    ・公開セミナー「高齢者の生活機能変化に配慮した安全に関するユニバーサルデザインの実現に向けて」のお知らせ
    ・iNARTE PS(製品安全)受験講習会・資格試験のご案内
    ・オンラインセミナー「輸入事業者のための電気用品安全法講座~PSEマークの表示のために~」

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1.除雪時の事故

【事例1】
除雪機を使用中、除雪機の下敷きになり、病院に搬送後、死亡が確認された。

→使用者は、除雪機の安全装置(デッドマンクラッチ機構)をテープで固定して使用していたため、使用者が転倒した際、ハンドルから手が離れたにもかかわらず自動的に走行が停止せず、事故に至ったものと考えられる。
なお、取扱説明書には、「デッドマンクラッチレバーを紐などで固定しない。安全装置が作動しなくなる。」旨、記載されている。

(用語の説明)
除雪機とは、前面の回転するオーガにより雪を取り崩し、ブロアで集めた雪をシュータの向いている方向へ放出する装置。
  ・オーガ:雪を直接砕いて集めるらせん状の刃の部分。
  ・ブロア:オーガで集めた雪を高速で回転して放出する動力部。
  ・シュ―タ:ブロアで放出した雪の飛ばす方向を決める部分。
  ・デッドマンクラッチ機構:使用者が操作ハンドルから手を離すと、自動的に回転部及び走行が停止する安全機構。使用者の手を離れて作動することを防ぐもの。

【事例2】
除雪機を使用中、シュ―タに詰まった雪を取り除こうとしたところ、右手指を負傷した。

→使用者が除雪機のシュ―タに詰まった雪をエンジンを止めないまま、付属の雪かき棒を使用せずに直接手で除去したため、ブロアの刃に触れ、事故に至ったものと考えられる。
なお、取扱説明書には、「雪詰まりの際は、エンジンを必ず停止してから雪を取り除く。」、「雪を取り除く際は木製の棒を使用し、手を直接入れない。」旨、記載している。

【事例3】
除雪作業のため、はしご兼用脚立をはしご状態で使用中、踏ざんに両足を乗せたところ、落下し、腰に打撲を負った。

→除雪作業時に雪の積もっていた砂利上で、はしご兼用脚立をはしご状態で使用していた際にはしごが傾いたため、立てかけられていた屋根のひさしからはしごがずれ、床付近にあった障害物上に落下・衝突したものと考えられる。
なお、取扱説明書には、「柔らかい地面や安定しない場所に設置しない。」、「はしごを使う時は、必ず補助者がはしごを支えて下さい。」旨、記載されている。

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【事例1の注意事項】
安全装置を無効化すると、使用者が転倒などした際に除雪機が停止せず、除雪機にひかれたり、巻き込まれたりするおそれがあります。デッドマンクラッチ機構をひもで縛ったり、クリップで挟むなどして固定し無効化することは非常に危険なため、絶対にしないでください。
また、2004年4月以前に発売された古い除雪機には、デッドマンクラッチ機構などの安全装置が装備されていない機種があります。これらの機種についてはより一層の注意をはらって使用する必要があります。

【事例2の注意事項】
エンジンをかけたまま、シュ―タやオーガに手を近づけないようにしましょう。エンジンをかけたまま雪を取り除く作業を行うと、雪の詰まりが解消されたと同時にブロアが再度回転し始め、手を負傷するおそれがあります。雪が詰まった場合は、手を使わず、雪かき棒を使用して取り除いてください。また、周りに人がいると、転倒した際などに巻き込まれる危険性がありますので、作業中は絶対に周りに人を近づけないようにしましょう。

【事例3の注意事項】
雪下ろしを行うために、はしごを使用して昇り降りする際は、はしごの足元をしっかりと固めるなど、滑りやすい場所に置かないようにしてください。また、約75度に立て掛け、上部をロープなどで固定して、はしごが転倒しないようにしてください。特に、はしごを使用して屋根などへ昇り降りする際は注意が必要です。必ずはしごの下部を補助者に支えてもらって使用してください。雪下ろしの際の安全確保のためにも、2人以上で作業するようにしましょう。さらに転落事故防止のため、防寒性の高い手袋や滑りにくい履物に加え、ヘルメットや命綱などを正しく装着しましょう。雪かき用はしごなどのより安全対策の取られた製品を使用することも有効です。また、はしごの上で雪下ろしは、絶対に行わないでください。バランスを崩すなどして、転落するおそれがあります。

■NITEでは2021年1月28日に冬の事故をプレスリリースしています。
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2020fy/prs210128.html

■その他除雪機に関する事故情報も併せてご参照ください。
  (再現実験映像)
   (1)除雪機「1.デッドマンクラッチを無効化した誤使用」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03150104.html
   (2)除雪機「2.安全装置(デッドマンクラッチ機構)の無効化で、止まらず走行」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021012802.html
   (3)除雪機「3.安全装置(デッドマンクラッチ機構)を無効化し、除雪部(オーガ)が回転」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021012803.html
   (4)除雪機「4.投雪口(ブロア)の雪を取り除こうとしてけが」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021012804.html

  (注意喚起ミニポスター)
   (1)除雪機の事故
   https://www.nite.go.jp/data/000004817.pdf
   (2)除雪機の事故防止
   https://www.nite.go.jp/data/000119285.pdf

■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「除雪機」、「はしご」等をキーワードに検索していただけます。
   https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(1月24日~2月6日 受付79件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名       ( 事故状況と件数 )

  • 1.エアコン                  ( 火災等      10件)
  • 2.石油ストーブ              ( 死亡等       7件)
  • 3.電気ファンヒーター        ( 火災等       5件)
  • 4.除雪機                    ( 死亡等       4件)
  • 4.照明器具                  ( 火災等       4件)
  •  

最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.その他の製品安全情報

・SAFE-Lite
        
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。

NITEのホームページでは事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できる「SAFE-Lite」をサービス提供しております。

「SAFE-Lite」は、製品の危険性を評価するリスクアセスメント・ツール「製品事故予測システムSAFE(※)」の「あいまい検索」機能をWeb化したシステムです。NITEのホームページから「SAFE-Lite」へアクセスできます。

※SAFE(System for Accident Forecasting Events)は、2019年11月から製造事業者を中心にインストール用DVDで提供しています(利用者申請が必要)。

お使いの製品で異常を感じた際に、「SAFE-Lite」で事故となる危険性を調べることで、必要な対策の参考情報を得ることができます。

ご利用の際は、製品の利用者が普段お使いの言葉で、製品事故が発生する前にみられる「予兆(現象)」情報を「SAFE-Lite」に入力すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止につながることを期待してます。

SAFE-Lite サイト
https://safe-lite.nite.go.jp/

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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について  消費者庁

消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

  • 1/29   11件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210129_01.pdf
  • 2/2     6件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210202_01.pdf
  • 2/5    32件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210205_01.pdf
  • 2/9     5件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210209_01.pdf

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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告  経済産業省

令和3年2月1日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定期報告がありました。令和2年12月1日から31日までの本体・バッテリー交換件数は98件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は306,129件となっています。
    https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou210202_2.pdf

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・公開セミナーのお知らせ
-「高齢者の生活機能変化に配慮した安全に関するユニバーサルデザインの実現に向けて」-

経済産業省製品安全課では、高齢者特有の行動特性を踏まえた製品開発設計の考え方を事業者へ浸透させること、また高齢者自身や周囲のケアラーがより安全な製品を適切に選択することを目指しています。

これまで、「高齢者行動データライブラリ」を開発・公表し数多くの企業・大学に活用をいただいてきたほか、昨年度には「高齢者の生活機能変化に配慮した安全に関するユニバーサルデザインの実現に向けて(https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/koreisya.pdf )」、「高齢者製品事故防止に関するハンドブック(https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/koreisyahandbook.pdf )」を取りまとめました。

このたび、これらを紹介する公開セミナー「高齢者の生活機能変化に配慮した安全に関するユニバーサルデザインの実現に向けて」を3月5日(金)に開催いたします。高齢者が使用する製品を設計・開発する企業の方々から、高齢者の介護に身近に関わる方々まで、幅広い方々にご参加をいただければと考えております。

詳細は下記URLをご覧ください。

■イベント詳細URL
https://www.airc.aist.go.jp/lirt/210120.html

■経産省HPにも掲載しています
https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/koukaisemina-.html

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・iNARTE PS(製品安全)受験講習会・資格試験のご案内

iNARTE PSエンジニア・テクニシャンの技術資格は、製品安全対策技術や製品安全規格の知見を有している事を認証する技術資格です。
下記要領で受験講習会・資格試験を実施します。

1.iNARTE PS(製品安全)エンジニア・テクニシャン受験講習会
   (2日間で試験カテゴリー全範囲を履修します。)
 ・開催日時:(1日目)2021年4月8日(木)13:00~17:00
        (2日目)2021年4月9日(金)10:20~16:30
 ・会場  :オンライン開催(Zoomウェビナー)
 ・受講料 :会員18,000円/非会員24,000円(2日間セット料金(税込))
 ・募集人員:50名
 ・募集期間:2021年2月1日(月)~3月12日(金)
      (定員に達し次第、締切りとさせていただきます)

2.iNARTE PS(製品安全)エンジニア・テクニシャン資格試験
 ・開催日時:2021年6月11日(金)9:00 ~17:45
 ・大阪会場:CIVI研修センター新大阪東 E705(大阪市東淀川区)
  東京会場:日本教育会館 8階 第三会議室(東京都千代田区)
 ・受験料 :16,000円(税込み)
    なお、合格された方は、別途認定料13,000円が必要です。
 ・募集人員:40名
 ・募集期間:2021年2月1日(月)~5月31日(月)
      (定員に達し次第、締切りとさせていただきます)

お申し込みは、弊センターのウエブサイト
(資格試験) https://www.kec.jp/seminar/narte_ps21/
(受験講習会)https://www.kec.jp/seminar/narte_ps21-2/
からお申し込みください。
お問い合わせ
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
iNARTE Japan PS 分科会 事務局 石住 隆司
〒619-0237 京都府相楽郡精華町光台3丁目2番地2
TEL:0774-29-9041/E-mail:narte-safty01@kec.jp

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・ オンラインセミナー
「輸入事業者のための電気用品安全法講座~PSEマークの表示のために~」

電気用品を輸入販売する際にはPSEマークの表示が必要です。本セミナーでは、PSEマークを表示するために輸入者は何をしなければならないかについて、登録検査機関から実務に詳しい専門家をお招きして具体的に解説していただきます。また、輸入電気製品による事故事例や試売テスト結果のご紹介より、気を付けるポイントもご教示いただきます。わかりやすい解説でご好評をいただいているセミナーです。電気製品を取り扱う方はぜひご参加ください。

▼セミナーの詳細・お申込みはこちら
https://krs.bz/mipro/m/config-id-anzenweb210226?e_3295=3&e_3283=1

主催:(一財)対日投資交流促進協会(ミプロ)

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編集後記

子どもの頃は雪が降ると、休校になったり、遊べたりするのでうれしかったものです。でも、親たちはあまり好きではないようでした。除雪作業を手伝うようになって嫌がる気持ちも分かるようになりました。除雪機を使うほどの大雪の降る地域ではありませんでしたが、朝一番にかいても、気付けばまた積もっているので、またかいての繰り返しでなかなかの重労働でした。今冬は、大雪となった地域が多かったので、苦労されている方も多いかと思います。死亡事故も起きていますので、大変な作業ですが、十分に安全対策をして行いましょう。除雪作業時の注意点についてのパンフレットがありますので、参考にしてみてください。
よくある除雪作業中の事故とその対策(内閣府・国土交通省パンフレット)
  http://www.bousai.go.jp/setsugai/pdf/h2312_004.pdf

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