製品安全

Vol.69  3月26日号「配線器具による事故」

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 ■    ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
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         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■        生活・福祉技術センター 製品安全企画課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

=================2008. 3.26 Vol. 69=====================

 春は新生活を始められる方も多いかと思います。今回は、ご注意いただきた
い配線器具の事故をご紹介しています。事故100選は、スピーカーが天井か
ら落下した事故をご紹介しています。

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                 目次 
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1.製品事故収集情報 
  ・配線器具による事故
  ・消費生活用製品の事故情報収集状況(3月6日~3月19日受付248件)
2.社告・リコール情報(13件)
3.関係機関の製品安全情報
  ・「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」及び
   「消費生活用製品安全法の一部を改正する法律の施行期日を
    定める政令」について                経済産業省
  ・消費生活用製品のリコール社告のJISの制定について  経済産業省
  ・自転車用空気ポンプのJISの改正について       経済産業省
  ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について    経済産業省
4.事故100選
    第38回「スピーカーが天井から落下した事故」
5.編集後記
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            1.製品事故収集情報
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         ◆◆◇ 配線器具による事故 ◇◆◆

◇今回は、ご注意いただきたい配線器具の事故事例をご紹介いたします。

  (事例1)大学構内にある男子寮の5階から出火、寮室6部屋などを全
       焼し、共同台所などを半焼しました。避難の際、通報した学
       生がすり傷を負いました。
  ----------------------------------------------------------------
  →延長コードを用いて、冷蔵庫、テレビ、炊飯器など許容電流を超える
   電気器具をたこ足配線で使用していたため、延長コードが発熱し、絶
   縁被膜が燃え、火災に至ったものと推定されます。

  (事例3)木造2階建て集合住宅の1階部分より出火し、約200平方
       メートルを全焼、3名が死亡し、1名が足などに火傷を負い
       ました。
  ----------------------------------------------------------------
  →3口のテーブルタップに6つの電気製品(テレビ、ビデオ、こたつ、
   DVDプレーヤー、水槽用器具、ゲーム機)をたこ足配線し、その6
   つの電気製品の電源コードをテーブルタップの近くで結束した状態で
   長期間使用されていました。そのため、結束部分が発熱してコードの
   被膜が溶融、ショートし、カーペットに着火、同室に置いていた灯油
   入りのポリ容器に引火し、火災に至ったものと推定されます。

  (事例3)マンションの一室から出火し、約15平方メートルを全焼し
       て、家人が煙を吸って病院に運ばれました
  ----------------------------------------------------------------
  →壁のコンセントに接続されていた延長コードが、長期間本棚に押され
   た状態で物理的ストレスを継続的に加えられていたため、当該コード
   が発熱、被覆が溶融し、芯線同士がスパーク、延焼したものと推定さ
   れます。

  (事例4)机上に置かれていたノートパソコンの電源コードから発火し、
       周辺の書類等が燃えた。
  ----------------------------------------------------------------
  →ノートパソコン用ACアダプターのコードがノートパソコンに下敷き
   になった状態であり、溶融痕が確認されたことから、外部からの機械
   的ストレスによりコード被覆が破れ、芯線が断線・スパークし、付近
   の紙類に着火したものと推定されます。

◇事例1や事例2のように、延長コードやテーブルタップ、コンセントの許容
 電流を超える電気器具の接続はとても危険です。必ず器具の定格(許容電流)
 を確認してご使用ください。また、事例3や事例4のように、家具の下敷き
 などコードに負担をかける使用をすると、コードが傷んで発火の原因になり
 ます。配線には気をつけてお使いください。特に 学生や新社会人など新生
 活を始められる方は、引っ越しの際にご注意ください。

      ◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
           (3月6日~3月19日受付248件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。

        製品名          (事故状況と件数)
      ===============================================
      1.電気ストーブ       (火災等  26件)
      2.ガスこんろ        (火災   25件)
      3.食器洗い乾燥機      (焼損   14件)
      4.石油ストーブ       (火災等  13件)
      5.スプレー缶(シールはがし)(孔開き  12件)

 食器洗い乾燥機14件には、社告対象品で内部部品が焦げて発煙した事故が
含まれます。スプレー缶(シールはがし)は容器の内面が腐食して小さな孔が
開き、液剤と可燃ガスが漏れたもので、まとめて報告があったものです。

<最新の製品事故情報の公表>

 最近1週間に受付をした事故情報について毎週月曜日に以下のNITEホー
ムページで公表しています。
  → http://www.nite.go.jp/jiko/sokuho/index20.html

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            2.社告・リコール情報
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◇長瀬産業株式会社 「ポータブルDVDプレーヤー(再社告)」
 (平成19年7月11日に行った社告の再社告)(自主回収、返金)(H20/03/13)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080313.html

◇岩谷産業株式会社 「電子レンジ(再社告)」
(2003年9月2日に行った社告の再社告) (無償で点検・修理)(H20/03/12)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080312.html

◇株式会社サンエー・インターナショナル 「婦人用パンプス」(回収)
 (H20/03/11)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080311.html

◇松下電工株式会社/松下電器産業株式会社 「デスクヒータ」
 (代替品と交換(無料))(H20/03/06)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080306.html

◇ヤンマー農機株式会社 「家庭用生ごみ処理機」
(無料で点検・修理)(H20/03/05)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080305.html

◇アイオ産業株式会社 「木目調ガスキャビネット」
(無償改修)(H20/03/04)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080304b.html

◇松下電工株式会社/松下電工バス&ライフ株式会社
 「戸建住宅用ユニットバス」(無償にて溝フタの交換)(H20/03/04)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080304a.html

◇株式会社MTG 「脚温器「足の助」」
 (無償点検ならびに修理・交換等)(H20/02/29)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080229b.html

◇クリナップ株式会社/サンウエーブ工業株式会社/三協立山アルミ株式会社
 /タカラスタンダード株式会社/東芝コンシューママーケティング株式会社
 /日立アプライアンス株式会社/株式会社日立ハウステック/富士工業株式
 会社/松下電器産業株式会社/松下電工株式会社/株式会社ミカド/三菱電
 機株式会社 「電気こんろ」(平成19年7月4日、平成19年8月1日に行なった
 社告の加速取組)(無償改修)(H20/02/29)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080229c.html

◇ピジョン株式会社 「電子レンジスチーム消毒バッグ 出し入れ簡単」
 (商品回収)(H20/02/29)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080229.html

◇株式会社ADEKA(旧社名:旭電化工業株式会社)
 「ゆたんぽ(電子レンジ用)(再社告)」
(使用中止と商品回収)(H20/02/27)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080227c.html

◇株式会社デンソー 「遠赤外線ヒーター(再々社告)」
 (平成19年3月28日、平成19年11月6日に行った社告の再々社告)
 (回収(1台につき2万円で引き取り))(H20/02/27)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080227b.html

◇コクヨS&T株式会社 「シールはがし(強力タイプ)180ml 」
 (回収・交換)(H20/02/26)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20080226a.html

■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■

 【過去1年間の社告・リコール情報】
     http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
 【社告・リコール情報の検索】
     http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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           3.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」及び ◇◆◆
 「消費生活用製品安全法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」
  について

 「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」及び「消費生活用製
品安全法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が平成20年3月
21日に閣議決定されました。
 経済産業省は、「消費生活用製品安全法の一部を改正する法律」による改正
後の消費生活用製品安全法(以下「改正法」)の施行に伴い、改正法に規定す
る経年劣化により一般消費者に対して重大な危害を及ぼすおそれのある消費生
活用製品(特定保守製品)としてガス瞬間湯沸器等を定めるとともに、近年の
事故実績に鑑み、特定製品として石油燃焼機器を追加する等の措置を講ずるた
め、消費生活用製品安全法施行令について所要の改正を行うこととしています。
また、改正法の施行期日を平成21年4月1日とすることとしている旨を公表
いたしました。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20080321002/20080321002.html

  ◆◆◇ 消費生活用製品のリコール社告のJISの制定について ◇◆◆
       (日本工業標準調査会における審議の開始)

 経済産業省では、消費者へ必要な情報が伝わり、消費者にとって理解しやす
くかつ読みやすいリコール社告の普及を目的として、リコール社告に記載すべ
き項目・内容を規定したJISの制定に関して、平成20年4月4日に開催す
る日本工業標準調査会の消費生活技術専門委員会において審議を行います。な
お、本件は、今般、消費者からの提案によりJIS化を図る初めての事例です。
同調査会の審議が終了した後は、所定の手続きを経て、6月20日に制定・公
示される予定です。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20080318004/20080318004.html

    ◆◆◇ 自転車用空気ポンプのJISの改正について ◇◆◆ 

 自転車用空気ポンプについては、にぎり破損、シリンダキャップ外れ、シリ
ンダ外れ、畜圧タンク飛び出し等による人身事故が発生しており、対策が求め
られていたところです。経済産業省はこれらの対策のために自転車用空気ポン
プに係る日本工業規格(JIS D9455)を3月20日に改正・公示しました。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20080314004/20080314004.html

  ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆  

 経済産業省は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

  3/25 http://www.meti.go.jp/press/20080325003/20080325003.html
  3/21 http://www.meti.go.jp/press/20080321007/20080321007.html
  3/18 http://www.meti.go.jp/press/20080318003/20080318003.html
  3/14 http://www.meti.go.jp/press/20080314009/20080314009.html

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             4.事故100選
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      第38回「スピーカーが天井から落下した事故」

◇平成14年、天井に取り付けたスピーカーが取付金具から外れて落下する事
 故が発生しました。使用者によると、事故が起きたスピーカーは約6年半の
 使用で、以前壁に取り付けていたものを天井に取り付け直し、その約2年後
 に事故が起きたとのこと。スピーカーの寸法は、高さ約38cm、幅約22cm、
 奥行約25cmで、重さは7.45Kgでした。

◇事故品を調べたところ、スピーカーは、取付金具とスピーカー背面を接合し
 ていた2箇所のボルトが外れて落下していました。また、スピーカー背面に
 付いている2個のナットは、両方とも上部のねじ山が3~4山程度せん断さ
 れていました。ボルト2本には特に異状は見られませんでした。

◇ナットは、スピーカ背面の厚さ約15mmの繊維板に内面から打ちこまれてお
 り、表面から取付金具を固定するボルトをねじ込む構造でした。調べると事
 故品のボルトとナットのねじ山のかみ合わせの長さは3.2mmしかなく、ナ
 ットのねじ部の長さ10.1mmに対して、6mm余りも短いものでした。また、
 ナットのねじ山にはボルトが斜めにねじ込まれていたことを示す変形が確認
 されたため、この状況を想定した引張り試験を行ないナットのせん断力を調
 べたところ、斜めにねじ込んだ状態のねじ山のせん断強度は、正常状態の約
 1/3以下であることがわかりました。

◇以上のことから、スピーカー本体を取付金具に取り付けるボルトの長さが短
 かったために、ボルトとナットのかみ合わせ山数が少なくなり、取付者がね
 じ山を合わせることができなかったと考えられます。そのため、ねじ山が合
 わない状態で斜めにボルトがねじ込まれてナットのねじ山を損傷し、ねじ山
 がスピーカーの重量に耐えられずにせん断し、スピーカーが取付金具から外
 れるに至ったと推定されます。

◇製造事業者は、ホームページ、専門誌、販売店への告知を行い、点検・修理
 を行いました。また、同様の取付金具を使用して取り付ける製品は、ねじが
 斜めに取り付かないよう、取付者が斜めに取り付けた場合でも完全に締まり
 きっていないことが分かるようにねじの締め付け山数の基準の変更を行うと
 もに、品質保証部門による斜め取り付け可能性の検査を実施することとしま
 した。

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              5.編集後記
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 NITEではリーフレット、「新生活スタート くらしに潜む危険」(PD
F)をホームページで配布しています。新生活をスタートする学生さん、新社
会人の方をはじめとした消費者の方に、わかりやすくご注意いただきたい事例
を紹介しておりますので、ぜひ、ご覧ください。

 → http://www.nite.go.jp/jiko/leaflet/leaflet.html

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 ◇事故情報の検索 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

 ◇製品の事故情報をお寄せください
  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html (Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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        【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                生活・福祉技術センター 製品安全企画課

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図