Vol.20  4月 7日号「電気温水器のタンク破裂事故(後編)」
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■ ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)==========
■■■◆ PSマガジンは製品安全についての情報を
■ ■■■ お届けします。 (隔週金曜日発行)
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■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
■■■ 生活・福祉技術センター 製品安全企画課
http://www.jiko.nite.go.jp/
=====================2006.4.7 Vol. 20====================
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│PSコラム│
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│ PSマガジンと生活安全ジャーナル │
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◇PSマガジンの読者の中には、あれはどうなったかと思っておられた方々も
多いと思う。PSマガジンに、製品安全に関する広報誌の発行を検討中だと
書いてから心苦しい日が続いていた。先のPSマガジンでは広報誌(創刊号)
を2月末には発行する予定だとしていたからだ。
◇製品安全広報誌は、NITEからの情報だけでなく、事業者、消費者、研究
機関、行政などの主張や取組みを、より豊富な内容で自由に提供できるもの
としたい。消費生活用製品分野の安全文化形成にも寄与できるものでありた
い。これらの想いから、PSマガジンチームで検討をしていたものだ。
◇一番、難題であった広報誌の名前は、「生活安全ジャーナル」に決まった。
悩んだ甲斐があって、実に自然な名前となったと思うがどうだろうか。予定
より1ヶ月遅れ、4月初旬から配布することになったおかげでNITEのぴ
かぴかの新しいロゴを付けることができた。製品安全に興味を持つ人や製品
安全の仕事を担当する人たち向けに、4月初旬から製本版の配布を予定して
いるほか、PDF版での配布はNITEホームページ(*)で開始している。
(*) http://www.jiko.nite.go.jp/journal/
◇PSマガジンチームとしては、Eメール(テキスト形式)という文字での情
報提供の制約から解放され、色や図面などが自由に使えることから、想像力
が、どんどんふくらんでいる。今は、事業者、消費者、研究機関、行政など
をどのような情報で繋げばよいか熱い検討を行っており、初夏に出す次号の
ことで頭がいっぱいの状況だ。安全といえば、NITEの「PSマガジン」
と「生活安全ジャーナル」と言われるくらいになりたいと思う。
(編集子)
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目次
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0.お知らせ
1.事故100選
第2回「電気温水器のタンク破裂事故(後編)」
2.事故情報
・消費生活用製品の事故情報収集状況(3月20日~3月31日受付101件)
・衣類乾燥機による事故
・昨年5月に発生した事故の傾向
・消費生活用製品以外の事故(1件)
3.NITEの製品安全情報
・広報誌「生活安全ジャーナル」創刊
4.関係機関の製品安全情報
・電気用品安全法全国講習会の開催について 経済産業省
・いわゆるビンテージものに関する特別承認制度について 経済産業省
・近畿・中国地域における中小事業者への
検査機器無料貸出の受付開始について 経済産業省
・「安全学入門」「安全工学の基礎講座」(有料)を開催
明治大学リバティ・アカデミー
5.編集後記
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0.お知らせ
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生活・福祉技術センターは、平成18年4月1日付けで、組織変更を行いま
した。PSマガジンの作成、配信を行っておりました業務管理課は、製品安全
企画課に課名を変更いたしました。
製品安全企画課では、今後とも製品安全に関わる情報を正確、的確、迅速に
提供して参る所存でございます。より一層の御支援、御協力を賜りますようお
願い申し上げます。
◇組織変更についての詳しい情報は以下のページにあります。
http://www.nite.go.jp/gen/sosiki.html
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1.事故100選
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NITEや試験研究機関が事故原因究明をした事例に、その事故原因が安全
な製品を設計する上で教訓となる事例が多数存在します。これらの事例を風化
させてはならないと考え、当時の状況を事故100選として紹介することにし
ました。今回は前号で紹介しました事例の後編になります。
第2回「電気温水器のタンク破裂事故(後編)」
◇その後の調査で、事故は以下の3条件がすべてそろった場合に稀に発生す
る事例であることが判明した。
1.約3年以上の長期間使用していない。
2.タンク内に水をいれたままである。
3.防食電源を入れたままである。
3つの条件が重なった時に事故が発生するメカニズムは次のようになる。
◇鉄が腐食する場合には水と酸素が影響し鉄イオンが溶解する。鉄イオンの電
子により水と酸素が反応し水酸イオンが生成され、鉄イオンと反応して酸化
鉄(さび)を生ずる。電気防食法は水に微弱な電流を流し、さびの原因とな
る水中のわずかな水酸イオンの攻撃を陽極に向け、水酸イオンを水と酸素に
変えることによって、鉄が酸化することを防止する方法である。
◇この方法は次に示す反応式により、わずかであるが水素ガスと酸素ガスを発
生する(注)。これらは、電気温水器を使用していれば、水とともに排出さ
れるが、使用されていない場合、排出されずタンク内に少量ながら蓄積され
ることになる。また、水の補給がないため、電気分解によりタンク内の水位
は徐々に低下する。これが重なると、タンク内の防食電極と水との間で発生
した火花放電が蓄積したガスに引火する。これが事故原因と考えられている。
(注)陰極 2H2O+2e- → H2+2OH-
陽極 2OH- → H2O+1/2O2+2e-
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H2O → H2+1/2O2
◇電気防食法は他の分野で鉄のさびを防ぐために採用されている既に実績のあ
る技術であるはずだが、密閉された容器の中で利用したことが、思わぬ事故
を招く結果となった。本事例はひとつのリスク(さびの発生)を低減するた
めに採られた対応策によって新たに別の大きなリスクが発生した例とみるこ
とができる。リスクアセスメントでは、あらゆる角度からリスク評価を行わ
なければならないが、つくづく難しいものだと思い知らされる事故の1つと
いえるだろう。
(参考)
◇ 1984年の古くから発生している事故であるが、NITEには2004
年度までに計10件の事故が通知されており、最近では2005年度に数件
発生している。
◇ 1988年から製造事業者各社が安全点検を実施し、1997年には、各
社共同で新聞告知を掲載し、該当する電気温水器に対する長期不使用時の注
意喚起を行った。また、工業会や各社のホームページに注意喚起を掲載し、
今年の2月には、再度各社共同で新聞告知による注意喚起を行っている。
◇ 1988年以降製造の電気温水器は、一部の製造事業者を除いて、電気防
食方式を用いないステンレスタンクに変更し、現在では電気防食方式はほと
んど採用されていない。
☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
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2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況 ◇◆◆
(3月20日~3月31日受付101件)
NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
製品名(事故状況と件数) [前号比(件数±)]
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1. 石油ストーブ (火災 12件) [+ 2]
2. ガスこんろ (火災 10件) [+ 2]
3. 電気ストーブ (火災等 6件) [- 4]
4. ふろがま(*1) (火災 5件) [+ 4]
. 配線器具 (火災 5件) [+ 2]
(*) 消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。
(*1)「ふろがま」は、ガス・まきふろがま等の種別が判明していないもの。
◆◆◇ 衣類乾燥機による事故 ◇◆◆
衣類乾燥機による事故(*)は9件で、内訳はガス衣類乾燥機4件、電気衣類
乾燥機5件です。9件とも事故原因は「消費者の誤使用・不注意による事故」
です。内7件が、油が付着した洗濯物を乾かした後、乾燥機内に置いたままに
したために自然発火に至った案件です。ご使用の際は取扱説明書の注意事項を
よくご覧ください。事例をご紹介します。
(*)NITEに平成15年度、平成16年度に通知されて調査が終了し公表し
ている事故情報(平成17年度第3四半期報告分まで)
◇事故事例
・乾燥運転を終え、ガス衣類乾燥機の中に放置してあった衣類から出火し、
乾燥機の扉を焦がした。
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→ガス衣類乾燥機には異常がなく、油分が付着していた洗濯物を乾燥後放
置したため、油の酸化熱により自然発火したものと推定される。
・電気衣類乾燥機を使用したまま就寝したところ、夜中に焦げ臭いにおい
がしたので確認したら、バスタオルに火がついていた。
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→使用者が清掃しなければならない熱交換器部分の掃除を長期間していな
かったため、多量のほこりが堆積してはがれ落ち、ヒーター部に接触し
て着火した。さらに燃えたほこりが回転ドラムの温風吹出口からドラム
内部に侵入し、乾燥したバスタオルに付着して焼損したと推定される。
◆◆◇ 昨年5月に発生した事故の傾向 ◇◆◆
平成17年5月発生の事故は、179件中74件(約41%)が『燃焼器具』
の事故でした。その次に、『家庭用電気製品』52件(約29%)、『乗物・
乗物用品』31件(約17%)でした。品名別では、ガスこんろ43件、四輪
自動車24件と多く報告されています。
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◆◆◇ 消費生活用製品以外の事故でこんな事故がありました ◇◆◆
◇『トラクターの下敷きになり男性が死亡』(3/22 北海道)
男性がトラクターの右後輪の下敷きになり、死亡した。警察では、男性がト
ラクターに乗らずにエンジンを始動させたため、動き出したトラクターの下敷
きになったとみて原因を調べている。
■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html
■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp
■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php
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3.NITEの製品安全情報
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◆◆◇ 製品安全広報誌「生活安全ジャーナル」創刊 ◇◆◆
製品安全に関する情報を一元的に集約したNITEの総合的な製品安全広報
誌「生活安全ジャーナル」を平成18年4月1日に創刊しました。製品安全に
携わる方、製品安全に興味のある方を対象に製本版の配布を予定しています。
また、NITEホームページでは、PDF版の配布を開始しました。
ぜひご覧いただきますよう、お願いいたします。
PDF版はこちらから→ http://www.jiko.nite.go.jp/journal/
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4.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇ 電気用品安全法全国講習会の開催について ◆◆◇
3月27日 経済産業省
経済産業省では、電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策の一環と
して、3月末から4月上旬にかけて、中小販売事業者向けに講習会を開催し、
PSEマークを表示するために必要な法的手続きや検査の方法等について説明
を行います。この講習会は全国各地で開催する予定であり、日程が決まった地
域から、順次発表を行っていきます。(発表は経済産業省「電気用品安全法の
ページ」(*)に掲載されています。)
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20060327001/20060327001.html
◆◆◇ いわゆるビンテージものに関する特別承認制度について ◆◆◇
3月30日 経済産業省
経済産業省では、いわゆるビンテージと呼ばれる電子楽器等について、PS
Eマークを付けないで販売することができるように、電気用品安全法上の承認
制度(特別承認制度)の運用の見直しを行い、その概要を公表しました。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20060330004/20060330004.html
◆◆◇ 近畿・中国地域における中小事業者への ◆◆◇
検査機器無料貸出の受付開始について
3月30日 経済産業省
経済産業省では、電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策の一環と
して、中小事業者に対する検査機器の無料貸出の受け付けを、3月31日(金)
から近畿地域、中国地域において開始します。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20060330014/20060330014.html
◇(*)経済産業省「電気用品安全法のページ」
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/index.htm
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◆◆◇ 「安全学入門」「安全工学の基礎講座」(有料)を開催 ◇◆◆
明治大学リバティ・アカデミー 明治大学安全学研究所
明治大学リバティ・アカデミーでは、製品の安全を中心に消費者として安全
を考える講座「安全学入門」、モノの設計、使用、管理の視点から、どの分野
の安全にも必須な安全の実現の基礎的、基本的な考え方を、包括的な観点も踏
まえて紹介する講座「安全工学の基礎講座」を開講します。
◇「安全学入門」~製品の安全をどのように考えるか~
1 5月13日 安全の概念 -安全とは何か?
2 5月20日 安全と人間工学 -使いやすい製品設計のために
3 5月27日 環境と安全 -地球環境と持続的可能性
4 6月 3日 安全の責任 -安全には誰が責任を持つのか?
5 6月10日 安全の技術 -安全は確保されるのか?
6 6月17日 製品の安全 -身の回りの製品の安全について考える
◇「安全工学の基礎講座」~安全原則を現場実践に活かす手法を考える~
1 6月16日 安全と技術と社会
2 6月23日 安全における工学的設計
3 6月30日 機械安全工学入門
4 7月 7日 安全におけるヒューマンファクタ
5 7月14日 安全活動を活かす製造現場の実践論
-トヨタ生産方式(TPS)と安全活動-
6 7月21日 化学物質総合管理への社会的取り組みと科学的方法論
【会場】 明治大学秋葉原サテライトキャンパス
【日時】「安全学入門」 土曜日 13:00~15:00 全6回
「安全工学の基礎講座」金曜日 18:30~20:30 全6回
【定員】 各24名
【詳細】 http://academy.meiji.jp/ccs/index.html
【申し込み・問い合わせ】明治大学リバティ・アカデミー事務局
E-mail:academy@mics.meiji.ac.jp
Tel :03-3296-4423
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5.編集後記
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新年度、PSマガジンチームの所属課が、業務管理課から名称変更し、製品
安全企画課として新たなスタートを切りました。今後とも宜しくお願いいたし
ます。ただいま研修で東京にきていますが、ホテルのドアをオートロックと思
い、鍵を開けたままで寝てしまいました。思いこみは恐ろしいですね。NIT
Eに寄せられた事故にも、消費者の思いこみによる事故は多くあります。水を
入れたと思いこんで風呂がまを点火し空だきにしてしまった事故、消したつも
りのガスこんろ、ストーブなど。私のようなドジはないと思いますが、皆様も
お気をつけください。
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【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
生活・福祉技術センター 製品安全企画課
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TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
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