製品安全

Vol.2  7月29日号「製造物責任法(PL法)施行10年」

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 ■    ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
 ■■■◆           PSマガジンは製品安全についての情報を
 ■   ■■■       お届けします。    (隔週金曜日発行)
 ■    ■               <等幅フォントでご覧ください>
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         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■          生活・福祉技術センター 業務管理課 
                       http://www.jiko.nite.go.jp/
                    
====================2005.7.29 Vol. 2====================
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│PSコラム│
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      │     製造物責任法(PL法)施行10年         │
      └───────────────────────────┘

◇製品安全に関わってきた人にとって、今年の7月はいろいろな想いが駆けめ
 ぐるはずだ。PL法が今から10年前の7月1日に施行された。当時から製
 品安全に関わってきた人には感慨深いものがあると思う。消費者団体や工業
 会などでも、法施行10年に関連した催しが盛んに行われているようだ。

◇法施行時に、NITEが運営している「事故情報収集制度」や民間検査機関
 等の「事故原因究明体制」は、当時の通商産業省による総合製品安全対策の
 一環として整備・強化が図られた。それから10年・・・。収集した事故情
 報を分析すると、誤使用事故の割合が約35%あり、その死亡・重傷事故の
 比率が高いことが判明した。また、「事故原因究明体制」についてはあまり
 世間で知られていない。

◇法施行10年目にして、NITEもいくつかの取り組みを行っている。その
 1つ目が「誤使用事故防止」への取り組みである。消費者向けに誤使用への
 注意点をまとめたハンドブックを作成・配布している。一方、事業者に対し
 ては誤使用事故防止の考え方をとりまとめたハンドブックを作成し、説明会
 を開催している。なお、PL法の「欠陥」の定義では、意外と思うかもしれ
 ないが、消費者の責任だとされていた誤使用事故が「欠陥」とされる場合が
 あることである。

◇2つ目は、PL法で訴訟を行う場合には、事故原因が製品の欠陥であったこ
 とを被害者が立証しなければならない。事故原因究明を行う専門の機関につ
 いて、製品分野別に最新の情報を折り込んだものを新たに発行する予定だ。

◇3つ目は、このPSマガジンである。            (編集子)

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                目次 
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1.消費生活用製品の事故防止について
    第2回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(7月11日~7月22日受付55件)
   ・消費生活用製品以外の事故(1件)
3 社告情報(4件)
4.NITEの製品安全情報
   ・「燃焼器具に関する事故の再発・未然防止セミナー」のご案内
   ・「化学物質総合情報提供システムCHRIP」化学物質管理センター
5.関係機関の製品安全情報
   ・「小形キッチンユニットの電気こんろ(据付け型)」の注意喚起
   ・SG認定基準改正(自転車、携帯用簡易ガスライタ、ゆたんぽ) 
6.編集後記
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        1.消費生活用製品の事故防止について
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       第2回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」
                           < S.N >
◇(3)「予見可能な誤使用」
 ・「予見可能な誤使用」とは、あらゆる使用方法から、「非常識な使用」と
  「正常使用」を除いた使用方法であり、事業者は「誤使用」ととらえ、消
  費者は「正しい使用」ととらえている部分である。
 ・この差は、事業者と消費者のもつ知識や情報の差、事業者による消費者
  の使用状況調査が不足していることによって生ずるものであり、事業者側
  が注意することにより、製品の持つ危険性を予見し得る可能がある。
 ・「予見可能な誤使用」については、事業者の側がその誤使用の内容や可能
  性を予見すべき立場にある。また、予見不可能であったとの主張は対外的
  に通用しにくい。
 ・製造物責任法における「通常予見される使用形態」とは、「正常使用」
  と「(合理的に)予見可能な誤使用」を含んだ概念であり、事業者は、こ
  の範囲について製品を安全化する義務を負うこととなる。

注)製造物責任法第二条第2項
 この法律において「欠陥」とは、製造物の特性、その通常予見される使用形
態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る
事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。

         ※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
                           (第3回に続く)
    ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

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             2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況
                   7月11日~7月22日受付55件 ◇◆◆

 NITEに通知のあった事故情報を傾向として集計しています。
(件数の多い順に5製品)なお、事故原因については現在調査中です。
                 
   製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]   
 1.ガスこんろ(火災10件)           [-1]
 2.運動器具(ステッパ)(転倒3件)       [+3]
   石油ストーブ(火災3件)           [+2]
   配線器具(コンセント)(火災3件)      [+1]  
   エアコン(室内機:火災2件 室外機:発煙1件)[-2]
   四輪自動車(火災2件、発煙1件)       [-6]

 (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。

=====夏に石油ストーブ?=====

 7月初めから、石油ストーブが原因と思われる事故が3件ありました。3件
のうち2件は、石油ストーブで洗濯物を乾かしていた可能性があり、残りの1
件は、蚕の飼育のため、温度調節に石油ストーブを使用していたようです。

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・

◆◆◇ 消費生活用製品以外の事故でこんな事故がありました ◇◆◆

◇『幼稚園児がロープ遊具で宙づり、意識不明の重体』(7/8・愛知県)
 小学校の校庭で園児が、首からかけていた水筒のひもが遊具のロープにか
らまった状態で宙づりになっているのが発見された。園児は意識不明の重体。


■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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             3.社告情報
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◆◆◇ 最近の社告 ◇◆◆

◇平成17年6月29日 株式会社アサップ「自転車」
 乗車中に左右にかたむいた際、補助輪が曲がってしまう場合があることが判
明した。(無償で部品交換(補助輪))

◇平成17年6月30日 株式会社ノーリツ/株式会社ハーマン
 「ガス給湯器」
 追い炊き時の沸き上がり温度を、ユーザー設定モードを使い出荷時の設定よ
りも高く設定した場合に、沸かし直しや追い炊きを行うと、浴槽からお湯が溢
れたり、設定温度以上に沸き上がったりする事が判明した。(無償で部品交換)

◇平成17年7月12日 東邦金属工業株式会社
 「電気ストーブ(ハロゲンヒーター)」
 ごく一部の製品に極めてまれに部品不具合により発熱し発煙する恐れのある
ことが判明した。(無償で点検・修理)

◇平成17年7月13日 ソニー株式会社「液晶テレビ」
 設計上の不備があり、まれにブレーカー(遮断器)が落ちる可能性があるこ
と、またはディスプレイユニットおよびメディアレシーバーユニットの金属部
分に触れると感電する危険性があることが判明した。(無償で点検・修理)

■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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          4.NITEの製品安全情報
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◆◆◇ 石油ストーブなどの燃焼器具の事故の約75%が誤使用事故 ◇◆◆
 
 NITEで収集した燃焼器具の事故の約75%が、消費者の誤使用・不注意
による事故である。NITEでは、平成16年度から「燃焼器具に関する事故
の再発・未然防止セミナー」を社団法人日本ガス石油機器工業会と一緒に開催
し、消費者行政の消費者向け啓発講座等に、無償で講師を派遣しています。今
年度は、東北、九州の各消費生活センターに呼びかけ、開催しています。

【今後の開催予定】
 8/ 4  久留米市消費生活センター「くらしのカレッジ」
 9/ 5  沖縄県県民生活センター「平成17年度消費者リーダー養成講座」
 9/30   名取市「名取市消費者学級」
   
問い合わせ:業務管理課(電話06-6942-1112)「燃焼器具セミナー」担当まで。

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◆◆◇ 身のまわりの製品に含まれる化学物質情報が検索できます ◇◆◆
  
NITE 化学物質管理センター 「化学物質総合情報提供システム
         CHRIP:CHemical Risk Information Platform)」

 NITEに寄せられる事故情報の中には、皮膚障害等、製品に含まれる化学
物質が原因となっているケースもあります。こういった事故の未然防止、事故
後の原因究明や対処のためには、化学物質の正しい情報を知ることが重要です。
 NITE化学物質管理センターでは、国際調和を図りながら信頼ある科学的
データに基づいてリスク評価を行い、適切な管理を行うため、「化学物質総合
情報提供システム(CHRIP)」を整備し、NITEホームページで公開して
います。CHRIPは、化学物質の番号や名称等から、有害性情報、法規制情
報及び国際機関によるリスク評価情報を検索できるようになっています。
 
 是非ご利用ください↓↓↓
 http://www.safe.nite.go.jp/japan/db.html

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           5.関係機関の製品安全情報
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 ◆(社)日本電機工業会・キッチン・バス工業会
   平成17年7月5日、全国5紙、地方2紙において「小形キッチンユニ
  ットの電気こんろ(据付け型)」の注意喚起を行いました。
  【詳細】 http://www.kitchen-bath.jp/public/minikichin.pdf

  ☆NITEでも「事故情報特記ニュース(*)」で注意喚起を行っています。
  【詳細】No.63 電気こんろに係る事故について(注意喚起)(2005/01/13)
      http://www.jiko.nite.go.jp/news/063/news63.html
  (*)「事故情報特記ニュース」は、製品事故の再発可能性が高いこと等に
    より早急に注意喚起を行う必要性がある場合などに発行しています。

 ◆(財)製品安全協会『SGマーク認定基準制定・改正情報』
   「自転車」「携帯用簡易ガスライタ」「ゆたんぽ」が改正されました。 
  【詳細】 http://www.sg-mark.org/

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             6.編集後記
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 NITEでは、「誤使用事故防止」への取り組みをしているところですが、
ここで職員の誤使用体験談を(^_^;) 。
 単身赴任中の某職員が、掃除機のコードがキンク(S字状のねじれ)を起こ
していると知りつつそのまま使用していたら、突然「ボン!!」と大きな音が
して炎があがったとのこと。テーブルタップの定格が1000Wのところに、
1000Wの掃除機をつないで余裕がなかったことと、キンクで半断線してい
たのでしょうと本人の分析。ちなみに某職員は長く製品安全業務に携わってい
て、今回の事故は、誤使用事故防止のために、身をもって誤使用を体験し(?)、
情報提供があったことを申し添えます(^_^)。

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          【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
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独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図